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short trip -2-

眠っている間に連れてこられたリゾート島は、本当に豪華な所だった。
海の上に立てられた水上コテージは広々としていて、
リビングのガラスのテーブルの真下はガラスの床。
そこから覗ける、青く透き通った海の中を自由に泳ぐ熱帯魚たちのカラフルな色は見事なものだ。

それにしたってここは、男同士でくるような場所でもねぇだろう。
そう思う反面、堂々とおれをここに連れてくるユースタス屋の男らしさにまた惚れた、
なんてことは死んでも言ってやらない。
なんかおればっかり惚れるなんて悔しいだろ。

「トラファルガー、食わねぇの?」
「おまえの目は節穴か、ユースタス屋。食ってるだろ」
「んなの食ってるうちに入らねぇよ。肉を食え、肉を」
「…要らねぇ」

そう言いながらフォークに突き刺した肉を、
おれの目の前に差し出すユースタス屋はやけに上機嫌だった。
本当はおれだって、折角こんな場所だから楽しみたい気持ちはある。
それができないのは、ペンギンに無断でここに連れられてきたからだ。

先程、電伝虫で今日は帰れないと告げた時のペンギンの様子から察するに、
きっと明日船に戻れば散々なお説教が待ってるんだろう。
おれのことを心配してくれているのは解っているから嫌な気分ではないが、
その分無下にもできないから単純に疲れるんだ。
なのに、その原因を作った当の本人のこの上機嫌さがムカつく。

「まだ怒ってんのか?」
「当たり前だろ!おれがどれだけ嫌味言われたと思ってんだ」
「あー、お前んとこの保護者なぁ…過保護だよな?」

まぁ確かに、ペンギンは少し過保護な気がする。
船長はおれなのに、無断外泊でもしようものなら本気で怒るし、
偏食で小食なおれが夕食の野菜や肉を最低でも一口は食べないと部屋から出て行かないし。
最近では、キャスやベポまでもがアイツに影響されて口煩くなってきたような…
いやいや論点がズレた、そうじゃない、
だから原因はおまえがおれを勝手にこんな小島まで連れてきたからだろ!

「おまえのやる事があり得ねぇんだよ。普通敵船の船長拉致するか?」
「なんだよ、いい島だろ?」
「いや、そうだけど」
「じゃーもっと楽しそうにしろよ。せっかく2人なのにつまんねぇ」

なんだよ、その寂しそうな残念そうな顔。
やめろ、おれは怒ってるのにこれ以上なにも言えなくなるだろ。
そしておまえは、返答に詰まったおれの心を見透かすように、ダメ押しの一言を言うんだ。
解ってるんだそんなこと。

「なぁトラファルガー」
「…何」
「迷惑だったか?」



いつも自信満々で、誰に対しても強気なおまえが、おれの前でだけ見せるこの表情に逆らえない。
なぁ、そんな表情は反則だ。 これ以上怒れなく、なるだろ?
もう一度おれの名を呼びながら、大好きな腕がこちらに伸びてくる。
それに捉えられたら最後、もう振りほどけない。解ってても、逃げられない。

引き寄せられて唇を塞がれる直前に、瞳に映ったのはいつもの自信満々な笑顔だった。

――悔しいけど、やっぱりこいつには勝てないみたいだ。





end

20100323 新規作成
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