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おとなの時間

『ローは大きくなったら何になりたい?』
『ぱぱのおよめさん!』
『…お、およめさん?』
『うん、ローはぱぱとずっと一緒にいる』
『そっかそっか、ありがとな』
『やくそくだよ!ぱぱ!ローが大きくなるまで待っててね』

あの頃の約束を、おまえは覚えているんだろうか。



****
ソファの前のテーブルには、ふたり分にしては大きすぎるほどの丸いデコレーションケーキ。
バースデーキャンドルのあたたかい灯りに照らされたローのうれしそうな横顔は、
うっかり見惚れてしまうほどに綺麗だった。

ローがふぅっと一息にキャンドルを消した直後、お約束のようにその頬にキスをして、
その柔らかさを名残惜しく思いながらも電気をつけた。

「誕生日おめでとう、ロー」
「ありがとう」

少し照れたように笑うその表情に、なれないお菓子作りまでしてよかった、と心底報われた気持ちになる。
ローを引き取ってからもう何年経っただろうか、初めはホットケーキすらうまく作れなかったが、
今となってはオムライスからエビフライまで、ローの好きなものはおれの得意料理になってしまった。

そんなことを考えながら上機嫌でワイングラスを傾けると、
ケーキの苺をもぐもぐと食べていたローがおれの手元をじっと見ていた。

「飲み物、おれもパパと一緒のがよかった」
「ばか、『お酒は20歳になってから』だ」
「えー…」
「味見させてやるよ」

色はジュースと同じじゃねぇか、とごねるローをちょいちょいと指だけで手招きしてやれば、
四つん這いの状態でこちらに寄ってきてちょこんと隣に座る。
こんな可愛い仕草はちいさなころから変わらない。

変わったのは――…

「…っん、んんっ!?」
「……」

口に含んだワインを、抱き寄せたローに口移す。
急に抱き寄せられたローの口は驚いた表情のまま少し開いていて、
ワインは簡単にローの中へと流れていった。

そう、変わったのはおれたちの関係だ。
目に入れても痛くないほどに可愛がっていたローをはじめて抱いてからもう何年経っただろうか。
もちろんいろんな葛藤もあったけれど、今ではローは息子であり、大切な恋人だ。

あの幼い約束をしてから、おれたちはいくつもの季節を一緒にすごして、
今日はやっとローの18歳の誕生日を迎えることができた。

「――〜〜っふ、ぁ…」
「…うまい?」

ローが、こくんとそれを飲み干すのを確認すると、左手で後頭部を引き寄せたまま、
グラスをテーブルに置いた右手で腰を抱き寄せる。

おれの問いかけに満足に返答できず、とろんとした視線だけをよこすローがただ可愛くて、
飽きもせずキスを繰り返しながら無意識に揺れている腰あたりを撫でる。

「ん…ん、ぁ」
「かわい…」

ローがそろそろとおれの首に腕を回すのを確認すると、
ゆっくりとソファに押し倒してパーカーの裾に右手をすべりこませた。
あいにくこの体勢では視界に入らないが、そこにあるのは真っ白ですべすべな肌だ。

まるで吸い付くような肌触りがあまりにも心地よくて、撫でるのに夢中になってしまうこともしばしば。
そのたびローは少しもどかしいようで、自らの腰をおれに押し付けてくる。

今だってそう。先程から少しずつおれのほうに寄ってくる腰は真ん中あたりがほんのりと熱くて、
ローの性器が勃っているのが見なくてもわかる。全く、エロく育ったもんだ。

「パパ、きもちいい、…ね、もっと」
「ケーキ食べないのか?」
「…んぅ……じゃあたべさせて」

ローの目線や仕草、それから言葉のひとつひとつが、
もとからそんなに持ち合わせていないおれの余裕を確実に削ぎ落としていく。

上体だけを起こして、ねだられるままにケーキのクリームをひとくち分、スプーンで掬う。
パーカーの裾を捲りあげて露わになったふたつの乳首にそれを乗せると、
触れた金属の冷たさに震える乳首ごと舌でねっとりと舐めとった。

「あっ!…や、ん、パパぁ…」

目線だけで口を開けろと促すと素直に開くローのちいさな口。
そこから覗く赤い舌に、おれはクリームを口移した。

ふたりの口の中に、先程とのワインとは違う、ひたすら甘い感覚が広がる。
舌を絡ませて、吸って、たっぷりと口のなかを堪能してから唇を離せば、
ローは物足りないような目線を送ってきた。

「っふ、ぁ…」
「ロー、おいし?」
「おいしい…けど…」
「ん?」
「ね、もっと、して。ちくび、ぺろって」

そう言いながら、腰にまわしていたおれの手を自らの胸のところへ誘うその仕草に、
頭の芯がくらりと揺らめく。
今までにこいつが、こんなふうにねだったことがあっただろうか。

「パパ?」
「…そんな風にローがねだるのめずらしいな?」
「だっておれもう大人だもん」

拗ねたように唇を尖らせてそんなことを言う仕草に、可愛くてつい笑顔が零れる。
そうすれば今度は逆に、ローから長いキスをされた。

いつもおれがするように、唇を舌先でつついて口内に滑り込ませ、
内側をゆっくりとなぞるキス。正直、気持ちいい。

「……ねぇパパ、もうおれ今日から18だよ」
「ん?そうだな」
「いつもみたいに子供扱いじゃなくて、おとなのセックスして」
「はは、なんだソレ」
「…おれに合わせてじゃなくてパパのペースですきにしてって言ってるの」
「――っ」

顔を赤くしながら頬を膨らませ、そうねだるローを嗜める方法なんて知らない。
おれはそのまま、ローの体を纏っていた服を脱がせると改めてその体に覆いかぶさった。



****
煌々と電気のついたリビング、ソファの上には裸で快感に身を捩るローの姿。
その後孔にはおれの中指とひとさし指が根元まですっぽり埋まっている。
指を動かす度にびくびくと震える腰には、先程ローが解き放った精液がどろりと腹から垂れていた。

「はぁっ、ぱぱ、…おねがい、もう挿れてぇ…っ」
「ん…?でも、大人のセックスしたいんだろ?」
「あ、…あ!はぁ、んっ」
「すぐ挿れたらいつもと一緒だからな」
「…でも、おねがい、パパ、ぱぱ…」

おれのペースにあわせると言ったローは、よほど頑張っていたんだろう。
キスと乳首だけで一度、口で一度イかされても決して挿れてとは言わなかったが、
指で前立腺を撫で上げてやればとうとう音をあげた。

とは言え、涙目でそんなことを言われてはおれももうそろそろ限界だった。
がちがちに堅くなったものの先端から先程から先走りが零れているのが見なくても解る。
すらりとよく伸びた脚を肩に担ぐと、ローの腰を引き寄せて熱を宛がう。

次に来るであろう快感を期待しているのだろう、
先程まで複数の指をおいしそうに飲み込んでいた入り口が、
更なる刺激を求めるようにひくひくと動く様子がいやらしい。

「挿れるぞ」
「ぁ…っん!あ!!」

おれは、挿れる瞬間のローの表情がすきだった。
顔を真っ赤にして目を瞑って、ぽろぽろと涙を零しながらおれを受け入れる姿は
何度見ても慣れることはなく、その度におれのおかしいくらいの支配欲を満たしてくれる。
堪えきれない喘ぎが零れる唇にそっと触れると、ようやくうっすらと瞼を開ける。
そして、シーツを握り締めていた両手をおれに向かって精一杯伸ばすんだ。

「ぱ、ぱぱぁ…だっこ、ぎゅうってしてぇ」
「…このまま見てたらダメ?繋がってる部分、全部見えてすげぇエロい」
「やぁ!パパの意地悪、はずかしいよぉ…っ」
「でも今きゅって締め付けてきたぞ?見られて苛められるの好きなんだろ。…ほら、また」
「やだやだ、おねがい、ねぇ…っ」
「……ローはおっきくなっても甘えっこだな」

ローの細身の体を見下ろしながら突いて言葉でやさしく苛めるのも好きだけど、
抱きしめて突き上げるのも好きだった。
浅く、深く、調子を変えて陰茎を抜き差しするたびに耳元で漏れる声はひどく心地よく、
下半身で感じる快感を何倍にも増幅させてくれる。

喘ぎ声を飲み込むような深いキスをすれば、
飲み込みきれない唾液がつうっと一筋、ローの顎に落ちてゆく。
それでも足りないとばかりにはくはく呼吸をする姿に誘われるように、
おれは自分の腰をローに打ちつけるようにして動かした。

「やぁあ、パパだめ、そこやぁっ」
「いや?なんで、きゅうって締まったぞ?きもちいいんじゃないのか?」
「ふ…っく、あ、きもちい…けど、ダメ、あっあっ!」
「…ああ、そっかローはここ突かれるとすぐいっちゃうもんな」

何年も抱きなれたローのからだの気持ちいいところなんて知り尽くしている。
もっともっと乱れた姿が見たくて、挿入の角度を変えた。

いままでわざと避けていたある一点を突くと、それまで閉じられていた瞳が見開かれる。
同時に背中に回っていた腕の先、ローの爪が食い込むのがわかった。

喘ぎながら強すぎる快感を逃がそうと必死で呼吸をするその壮絶とも言っていい色気に、
最後に残った理性もどこかへ消えてしまいそうだ。

「あんっ、やだ、いや、パパ、ぱぱぁ…おれ もう…」
「ロー、我慢しなくていいぞ」
「んっ いっちゃうよぉ、あっ!――っ」
「……は、ぁ」

がくがくと体を痙攣させて射精するローの、
無防備にさらけ出された首筋に誘われるように緩く歯を立てる。
まるで絞りとるかのように締め付けてくる快感に抗うことはできずに、
ローの体の奥深くに精液を解き放った。



****
そのまま意識を飛ばすように眠りにつこうとするローの体をきれいにしてベッドに運び、
シャワーを浴びて戻ってくると、ローはもうすっかり眠りに落ちていた。

すぅすぅと静かな寝息を立てるローの横顔を、窓から差し込む月明かりが照らす。
そのやわらかな光に反射して深い藍色に光る髪を、ただ綺麗だと思った。
起こさないようそっと指を差し込んで、ゆっくりと後ろに梳く。
この手触りのよさも小さな頃から変わらない、おれのお気に入りだった。

「ん…」

もぞもぞと身じろぐ様子に、起こしてしまったかと一瞬ひやりとしたが、
まだ意識はぎりぎり夢のなかにあるようだ。
おれは、ベッドの隣のテーブルに置いてあった小さな箱へと手を伸ばした。

「…ほんとは、起きてるときにあげたかったんだけどな」

2つ揃いでその中に納まっていた小さな輝きを取り出すと、
ローの指へとそっと嵌める。起こさないように、ゆっくりと。
他人から見たら、ままごとのようだと笑うのだろうか。
それでも、小さいころからのローの夢を叶えてあげたかったんだ。

隣に寝転んでローを抱き寄せると、ローは無意識のうちにおれに頬を摺り寄せてくる。
可愛い仕草に癒されながら目を瞑れば、瞼の裏にはいつものローの笑顔が浮かんだ。
きっと、明日の朝になれば今まで見たこともない笑顔でおれに抱きついてくるんだろう。
そう思って、額にキスをひとつ。

――おやすみ、ロー。誕生日おめでとう。





end

改定履歴*
20100908 新規作成
霧ちゃんお誕生日おめでとう!いい一年になりますように。
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