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happy birthday, my dear

おれたちの”いつも”と言えば、夜どちらからともなく会いに行って、どちらかの船か酒場に行って酒を飲む。
後は気分次第でセックスだ。朝になれば名残惜しさを押し殺して、お互い船長としての自分に戻る。
そんな毎日を送っていたものだから、目の前の光景に違和感を覚えるのは、仕方ないと思うんだ。

「おはようユースタス屋」
「…よぉ、トラファルガー」
「もう7時だぞ」
「………”まだ”の間違いじゃねぇのか」

朝日の差し込む船長室、おれのベッドのちょうど腰あたりのところに座って、
いつになく晴れやかな笑顔でそう挨拶をするトラファルガーの顔を思わず二度見してしまった。
寝起きで働かない頭を必死にたたき起こしてようやくそれだけ口にする頃には、
コイツはそのままごろんと寝転がって甘えたようにくっついてくる。

おれの腕を当然のように枕にしてまっすぐに見上げてくる様子が可愛くて、
毛布を上げて迎え入れるとぎゅっと抱きしめてキスをした。
ちゅう、ちゅっとわざと音を立てるようにして、数回繰り返す。
舌を入れれば止まらなくなるのは分かりきっていたから、そこはとりあえず止めておいた。

「どーしたのおまえ、朝から来るなんて」
「ん…?なぁユースタス屋?」
「あ?」
「おれさぁ」

そう言ってまたおれの目をじっと見上げるだけのトラファルガーに、おれのなけなしの理性が揺らぐ。
吐息が触れそうなくらいの至近距離で、キスをした直後特有の色気を含んだ瞳。
このままヤってしまいたいのをぐっと我慢して、質問を続ける。
こいつのことだから、いつもと違う行動には何かきっと理由があるのだろう。
抱くのはそれを聞いてからでも遅くはない。

「何だよ」
「…やっぱいい」
「言えよ」
「気付けよ」
「…?いいから言えよ、おまえの頭の中見えるわけねぇだろ」

とは言え腕の中に恋人を閉じ込めたままの体勢では自制心がそう長くもつ自信もなくて、
おれは無防備な額に口付けながらそう急かした。
もう一度目線を合わすと、トラファルガーが思い切ったように口を開く。
その表情からなんとなく読み取れたのは、照れくさいような緊張感。

…ああ、もしかしたら。

「おれ、今日」
「誕生日?」
「!は?オマエなんで知ってんの?」
「いや、つーかおまえの顔見てたらなんとなく」

どうやらおれの勘は当たっていたようだ。先程までの緊張感はどこへやら、
トラファルガーは嬉しくて仕方ないというように、元々大きな瞳をさらに大きくさせて抱きついてきた。
誕生日だからってこんな風にはしゃぐなんてこいつもなかなかカワイイとこあんじゃん、
なんて思いながらいい香りのする深い藍の髪にキスをひとつ。

「そう、おれ誕生日なの」
「そうか、オメデト」
「ふふ、うん。ありがと」

その細身のからだをぎゅうっと一度抱きしめて、そのままごろんと仰向けになる。
腹の上で大人しく抱かれているトラファルガーの、さわり心地のいい髪を梳くように撫でながら
甘やかすようにキスを落とすと、擽ったそうな笑い声をあげた。

「どっか行きたいトコあるか?」
「ううん」
「誕生日プレゼントは」
「後でお前が選んで」
「後で?いまから出かけたらすぐだろ」
「やだ、甘えてたい」
「それもいーけど、やっぱ先に買いに行ってからにしよーぜ」
「なんで?」
「お前起き上がれなくなるよ、おれ今日すっげー本気で抱くから」
「――っ」

返事がないのを不思議に思って顔を見ようと覗き込んでみれば、なんてことはない、
そこには顔を真っ赤にさせて固まっているトラファルガーがいた。
ああもう、本当にかわいい。セックスなんていつもしてるのに、
毎回こういう反応を返すこいつにおれはすっかりはまってしまった。

「何照れてんの」
「お、…おまえ、が、変なコト言うから…」
「変なことって?」
「ばか、何言わせようと……」
「かわいい」

啄ばむようなキスをしながら、体を入れ替える。
唇だけじゃなく、皮膚のうすい目元も、まるい額も、それから、だんだんさくら色に染まってきた頬にも。
触れていない場所などないくらいに何度もキスを繰り返すと、すらりとのびた腕がおれの首筋に回される。
次に唇へとキスをした瞬間、ぐっと引き寄せられてトラファルガーの舌がおれの唇をぺろりと舐めた。

「こら、止まんなくなるだろ」
「だって…セックスしたい」
「――起き上がれなくなっても知らねぇぞ」

こくんと頷くトラファルガーの顎に手をかけ喉元へと赤い跡をつける。
そのまま耳たぶまでを舐め上げて「すきだ」と囁けば、
とろんとした瞳で「おれも」と返ってきた。

こんな風に求められて、我慢できる人間がいるのなら会ってみたいもんだ。
もっとも、トラファルガーをおれ以外のだれかに抱かせるなんてことは絶対にさせる気はねぇし、
この表情だって全部おれひとりのものだけど。

「ユースタス屋、なに考えてんの?…なぁ、もっと」
「…どうやってイかせてやろうかって考えてたの」
「ばか」

止まっていた愛撫を急かすように押し付けられるトラファルガーの腰を抱えて、
纏っていた服を一気に脱がす。
おれはもとから上半身裸で寝ていたから、直に触れる体温が心地いい。

もう一度だけ軽くキスをして、おれの舌はそのままトラファルガーのからだを下へ下へと辿っていった。
途中にある乳首に下を這わせばぴくりと反応するからだ。
舌で押しつぶすように愛撫して、ぷっくりと勃ちあがったそれに歯をあてれば、
頭上からは堪えきれない喘ぎ声が聞こえる。

「あ、…ん、やぁ…」
「イヤか?じゃあどうして欲しい?」
「ど どうして欲しいって」
「言えよ、誕生日だからおまえのして欲しいようにしてやるよ」
「そんなの、言えな…」
「ココ、触らなくていーの」

キスだけで大きく勃ちあがり、すでに透明な先走りを零しはじめているそこの先端を指でつつく。
たったそれだけで、その先端は新しい蜜を零した。

「あ、あ、…ゆ、すたす屋ぁ」
「なに、どうして欲しいか言う気になった?」

わざとらしく聞きながら、後ろの孔に触れる。人差し指で入り口を撫でるようにして、
つぷっと第一間接までに中に進入させると、トラファルガーは上体を起こすようにしておれを見た。
抱きなれたソコは、おれの指を簡単に飲み込む。指を2本に増やしてをゆっくりと出し入れしながら、
顔を真っ赤にして涙目でおれの方を見るトラファルガーと目線を合わせる。
視界に入る性器は真っ赤に勃ちあがったままぴくぴくと震えていて、
あまりの可愛さに思わず咥えてしまいたいのをぐっと我慢した。

「ゆーすたすやぁ…ゆびじゃイヤだ、なぁ、おねがい」
「おねがい、なに?最後まで言って」
「ん……っなぁ、おねがい、ユースタス屋のおっきいのいれて、
…、おれのつかんで、手で扱いてぇ…っ」
「――っ、いいぜ、すきなだけやってやるよ」

予想以上の”お願い”に、視界がくらりと揺らめく。
これ以上はおれも理性が持ちそうにない。
指を引き抜くと、足りない快感を欲しがるようにはくはくと開閉を繰り返すそこへ、
一気に堅くなったモノを突き挿れた。

「あっ!!――っ、ひぁ、ぁっ」
「っく、やべ…」
「ふあ、あ、きもち い…っ」

散々焦らされたトラファルガーの中は熱くてきもちよくて、
まるで意思をもったいきもののようにおれをきゅうきゅうと締め付けてくる。
挿れた瞬間からぽろぽろと涙を零して喘ぐ姿を見るだけでイってしまいそうになるのを
ぐっとこらえてゆっくりと腰を動かせば、おれにだきつく腕に力が篭るのがわかった。

「んっ、ぁ、ゆーすたすやぁ、すき、すきだ」
「…ん。おれも、すき」

うわごとのようにおれの名と”すき”の言葉を繰り返し口にする
愛しい恋人の肌にキスを落としながら、おれは律動を早めていった。



****
結局、トラファルガーが次に目を覚ましたのは日が傾きはじめた頃だった。
ぐったりとしてベッドから起きようともしない様子に、さすがにやりすぎたかと心の中で反省する。

「ユースタス屋の、いじわる」
「…」
「ばか、絶倫」
「……悪かったって」

”おねがい”を言わされたのがよほど恥ずかしかったのか、
トラファルガーは先程からぶつぶつと文句を言っていた。
まぁたしかに少し苛めすぎたかもしれないが、でも、
苛めたくなるくらいにカワイイこいつが悪い。
さらにはあんな言葉でおねだりされたら、おさまるものもおさまらないだろ。

「おれせっかくの誕生日なのに」
「はいはい、わかってる」
「もーちゃんと聞いてるか!?」
「聞いてる聞いてる。なに、プレゼント買いにいく?」
「…やだ」
「ご機嫌とらせろよ」
「じゃあモノなんかじゃなくて、もっと甘やかせ」
「はいわかりました」

冗談めかして目線を合わせれば、ふくれた顔がふにゃりとくずれる。この笑顔も、反則だ。
さぁあと半日、このカワイイ恋人をどうやって甘やかしてあげようか。





end

改定履歴*
20100922 新規作成
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