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甘い拘束

薬品の瓶同士がぶつかって立てる小さな音が部屋に響く。
ローは一旦研究に没頭してしまうと周りが見えなくなる癖があった。
それは今日も同様で、珍しくローの船に来たキッドにも構わず集中している。
かれこれ、30分くらいは経つだろうか。

「おい、トラファルガー」
「んー…、ちょっと待って、もうちょいだから」

初めこそローの医務室を兼ねた部屋の中をつまらなさそうに見物しながら
待っていたキッドだったが、もうそろそろ限界とばかりにローに話しかける。
ところが返ってきた言葉は素っ気無いものだった。当然、面白くない。

キッドは研究台へ夢中のローを背後から包むように抱きしめると
抗議の意味を込めて首筋に噛み付いた。驚いたのはローである。
びくん、と体が腕の中で跳ね、その手から解放された薬の瓶は大きな音を立て床へと落ちた。

「っ!ユースタス屋!」
「折角おれが来てやったのに、いつまでほっとけば気が済むんだよ、てめェは」

言いながら、首筋に舌を這わす。
突然の刺激に驚いたローは体を捩って逃げようとするが、
快感によって思うように力が入らず、残念ながらそれは叶わなかった。
そうしている間にもキッドの手は服の裾から内部へと侵入し、与えられる快感は次々と増えてゆく。

「…っ、はっ、っあ」

体を撫でる暖かな掌は心地よく、思わず声が漏れそうになるのを必死で抑える。
船長室と副船長室は隣同士の造りになっており、立派な船とは言え、壁はそう厚くはない。
ましてや今は昼間だ、いつ誰がこの部屋を訪ねてくるか解らない。

「待てって、まだ昼――」
「…ロー。いいから、じっとしてろ」

肩越しに抗議をしようと振り向くと、自分を抱きしめる男と目が合った。
強い意志を持った赤い瞳。その瞳に捕らえられ、名を呼ばれるだけで、たちまち体が動かなくなる。
海楼石の手錠を掛けられた訳ではないのに、手に、脚に、力が入らない。
――それは、甘い拘束。

返事がない事を肯定と捉えたのか、キッドは行為を再開する。
服を捲り、背中へと唇を移動させ、ローの反応を見ながら性感帯を探る。
隣の部屋には、船員がいる―その状況がローの羞恥を掻き立てた。
せめてもの抵抗で、声が漏れないようにと耐えるので精一杯。

気付けばローの下肢はいつのまにか脱がされていて、
大きくなったものはキッドの手で弄ばれていた。
零れる先走りがくちゅくちゅと音を立て、耳からもローを責める。
声が漏れないようにと、口を覆おうをした手はそっと退けられ、
その代わりに口腔内へはキッドの指が進入してくる。

「…聴こえるか?オマエが気持ちいいって思ってる証拠の音」

意地悪く囁くキッドの声は、ローの理性を奪うのに十分だった。
途端に膝から力が抜け、立っていられなくなる。
キッドは、力の抜けたローの体を支えたまま、
腰をぐいと引き寄せ十分に大きく膨張したものを一気に挿入した。

「ひぁ、あっ」

思わず声が漏れるが、もうそれを気にする余裕はなかった。
気持ちいいところを的確に責められ、首筋にはキッドの唇。
それから漏れる吐息はひたすらに甘く、そうさせているのは自分なのだと思うと心底嬉しくなる。

暫くそのまま、突かれるままに喘いでいたローだったが、ふとキスが欲しくなり、
自身の首筋に埋もれるようにある愛しい男の顔へと頬を寄せると
まるでそれが通じたかの様に唇が塞がれる。

なぜかは直ぐにわかった。
自分の内側でキッドがびくびくと震え、精液が勢いよく満ちる感覚――
それに導かれるようにローも達し、そのまま意識を手放した。


****
キッドがローの体をベッドに横たえ、自身も隣でしばらく仮眠をとった後、
先に目を醒ましたローによって散々なお仕置きが待っていたのだが、
それはまた別のお話である。





end

改定履歴*
20090831 新規作成
テーマは「服きたまま、後ろから」です。
ローは快感に弱いと思うのです。
キッドにお願いされたらダメって言えないとかいいと思います^^
- 4/8 -
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