top * 1st * karneval * 刀剣 * utapri * BlackButler * OP * memo * Records

独占欲

東の空に朝日が顔を出して、暫く経った頃。
キッドの船室ではシャワールームから出てきたキッドが
ソファに座り身支度を整えようとしていた。
ベッドの上には先にシャワーを浴びてバスローブに包まったローが
半分寝ているかのようにぼんやりとキッドを見ている。


「あ、待って」

不意に呼び止められ、今まさに口紅を塗ろうとしていたキッドの手が止まる。

「おれ、それやりたい」
「?…いいけど、できんの?」
「余裕」

―――今日一日、ユースタス屋と話すヤツは、おれが塗ったこの色を見るんだ。
そんな子供のような独占欲を満たすために、ローは、いそいそとベッドを降りると
ソファまで歩いてきて、ためらわずに膝の上へ乗るとその手からその口紅を奪った。


そのままキッドの顎に手をかけ、くいと上向かせる。
下から見つめられる、いつもと逆の状況に、すこし心臓が高鳴った。
それを悟られないように努めて冷静な声で、じっとしてろ、と言うと
キッドの唇を、少しだけ出した口紅でなぞっていく。
ゆっくり、ゆっくりと焦らすように動くそれは、下側をきれいな赤に染め上げる。
ローはそのまま、少しだけ自分の目線の角度を変え上側にも赤色をのせた。

我ながら綺麗にできた、そう思うと自然に笑顔になる。
鮮明な赤に彩られた"作品"を見ながら満足に浸っていると、
突然迫ってきたそれに自身の唇を塞がれた。

「んっ」

ローは抗議の声を上げようとするが、微かに零れるのは吐息だけ。
舌を絡ませられるとすぐに思考が遮断されてしまう。
その間にも、キッドの赤は少しずつ、ローを染めていく。
すっかり互いの唇の色がおなじになってしまう頃、
キッドは、膝の上のローを抱きかかえベッドへと逆戻りした。

「…おい、まだヤんのかよ…っ」
「自分から誘っといて、今さら何言ってんの?」

キッドは意地悪くにやりと笑うとそのまま首筋へとキスをして、
それ以上の抗議は聴こえない振りをした。





end

改定履歴*
20090824 新規作成
- 2/8 -
[] | []



←main
←INDEX

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -