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first contact -3-

ローの部屋で酒を飲み始めて暫く経ったころ
酒に強いと自負しているキッドにしては珍しく、すっかり酔いが回っていた。
二人で腹を割ってする話は楽しく、酒が進む。
お互い船長同士、遠慮もなく同等の目線で人と話すのは久しぶりだ。
時間を忘れて話は弾んだが、
キッドの顔色の変化に先に気付いたのはローだった。

「おい、大丈夫かよ」
「…悪ィな、ちょっと休憩」

キッドは、グラスを置いてソファに身を沈める。
上気した顔と、火照った体。すこし、飲みすぎたか。
ローは、専門ではないが医者なだけに
冷たい水に浸したタオルを持ってきた。
しかし、相当飲んでいたのはお互い様で、足元はキッドと同様に定まらず、
額にタオルを乗せようとして顔を覗き込んだ瞬間目が合った。

こいつ、整った顔してんなぁ。
細いし、介抱とか、女みてー…
そんなことを考えていたら、
気付けば後頭部に回した手を引き寄せ、唇を塞いでいた。

一度触れてしまえば、もう戻れない。
今まで気付かない振りをしていた気持ちが首をもたげ、キッドの心を支配していく。
ただ、目の前にいる男が欲しいと思った。

「おい、…っ」

慌てたローが離れようとするが、遅かった。
キッドは勢いに任せてローの腕を引き寄せると、腕の中に閉じ込めた。
絶え間なく与えられる口付けで息ができない。

「…っ、やめ、ろっ」

ようやく離れた唇、男のくせに真っ赤に彩られたそれから紡がれたのは
自分が心の中で幾度となく繰り返した言葉だった。

「…きだ。好きだ。」

言葉の意味を理解した瞬間、顔が一気に熱くなるのがわかる。
ローはすっかり混乱してしまった。
男相手に好意を抱いていたのは、自分だけだと思っていたから。
キッドの体を押し返そうとする手からは力が抜け、
それが合図のように行為が再開される。


噛み付くように、愛しむように。

調子を変えて与えられる口付けは、ローの中にある
理性だとか、道徳だとかを全て溶かしてしまい、
頭の中を赤一色に染め上げた。

「っふ…ぅ」

絡んでくる舌に思考が止まり、気がつくと、ローの細身の体は
キッドの鍛え抜かれた体に組み敷かれ、身動きできなくなっていた。
それでも嫌な気分にならないローは、
我ながらイカレてると心の中で自嘲した。


キッドの手がローの体を撫でる。
初めは、首筋、背中、腕。
キッドの愛撫は、外見に似つかわしくない、優しいものだった。
慣れた手つきで服は脱がされ、気分はどんどん高揚していく。
撫でられる度にそこから熱が生まれ、
その指が腰や太腿に達したときにはもう、どうしようもなくなっていた。

「…ちょっ と、待て、つか、まじでやんの?」
「今更?やるにきまってんだろ」

全裸になったローを見たキッドは、少しだけ不敵な笑みを浮かべ、
今度は先ほど手で撫でたところを順番に、唇でなぞっていった。

ほんとに、こいつ酔ってんのかよ―――
次々に与えられる、激しい快感。

いつの間にかキッドはローの脚の間に体をすべりこませていた。
脚の真ん中には陰茎が我慢できないというように存在を主張している。
赤い唇は戸惑いなくそれを包み、舌で先端を突付き、裏筋を舐めあげた。
びりびりとした快感が背中を駆け上げっていくような感覚。

自在に動く舌はまるで、ローの気持ちいいところを全て知っているかのようで、
快感の波はあっという間に全身を包み込む。
やがて、大きな光が目の前で弾けるような快感とともにローは達した。

「うぁ…っ」

ローの体はびくびくと痙攣し、ぎゅっとシーツを握った手までもが少し赤くなっている。
そして、今までに見たことのないような、すっかり溶けてしまったような表情。
キッドはその反応を見て満足そうに口の周りを拭うと、
ローが腹に出した精液を尻の穴に塗りこんできた。
きっと初めから、ローション代わりにするつもりだったのだろう。
周到な男だ。
それきり、ローは煩わしいことを考えるのをやめ、行為に集中した。


キッドは、暫く指で感じるところを探るように反応を楽しんだ後、
腰だけで位置を探りあて、挿入しようと試みた。
しかし、いくら慣らしてみても、異物を入れたことのないそこは、
大きく膨張したキッドの物を激しく拒絶する。
ローが感じるのは強烈な圧迫感。思わず、広い背中に回した手に力が入る。

「…トラファルガー、力抜いて」
「っ、はぁ、無理…っ」

不意打ちで唇に優しい感覚が与えられ、
ふっとローの体から力が抜けた瞬間、
キッドの物が一気に突き入ってきた。

「…ぁ、痛っ、ゆーすたす、や、っ」

今まで経験した事の無い痛みにローの顔が歪む。
思わず頬を伝って落ちる涙、キッドの背中に食い込む爪。滲む、赤い、血。

「悪ィ、少しだけ我慢して、すぐ慣れるから…」

キッドは、暫くの間じっと見守っていたが、
ローの呼吸が少し落ち着くのを確認するとゆっくりと腰を動かし始めた。

「うあ、あっ、あぁ… んっ」

ローの口から自分でも聞いたことの無い甘い喘ぎが漏れる。
痛みの中にある快感が、少しずつ大きくなっていく。
何かを考える余裕なんてもう欠片もなかった。
ただ、与えられる快感を全身で受け止めて、意識を必死に繋ぎとめるだけ。

余裕が無いのはキッドも同様で、
ローが感じるたびにキッドの物をきゅうきゅうと締め付ける。
それはひどく気持ちよく、キッドを攻め立てた。
ずっと自分でも気付かないようにしていた感情に素直になれた喜び。
必死に自分にしがみつき、快感に耐える愛しい人の声。
それら全てが、キッドの中に満ちて、ぐるぐると溶け合ってひとつになっていく―――

ローの幾度目かの射精の後、我慢の限界に達したキッドはローの中で果てた。
陰茎は何度もしゃくり上げ、ローの内側を刺激する。
ローは薄れていく意識の中で、自分を見下ろす男の優しい目線に気付き、嬉しくなった。



***
次にローが目を開けたとき、外はもう明るくなり始めていた。

「まじかよ…」
「お疲れ」
「おれ、寝てた?」
「いや、ほんのちょっと。30分くらいか。」

キッドは終始にやにやとローの表情を見ている。

「…何だよ」
「いや?ずいぶんキモチ良さそうに喘いでくれたよなぁ」

このキッドの一言にカチンときたローは、すごい勢いで文句を言ってきた。

「大体、おれはお前とこうなるつもりなんかなかったんだ。」
「オマエまじで酔っ払ってたのかよ!この変態!」
「つうか加減考えろよ!!!もう朝じゃねェか!」

しかし、どんな強烈な憎まれ口も、発情したような真っ赤な顔で
言われては説得力はなく、ただの音でしかない。
キッドは、ふ、と笑いローを引き寄せ、顔をくいと上向かせると唇で唇を塞いだ。

「もう黙れ」

長く甘い、とろけるような口付け。

そして、最後にもう一度だけ、

「好きだ。」

と言った。







改定履歴*
20090807 新規作成
20090813 修正
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