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first contact -2-

それは期せずとも、現実のものとなった。

気まぐれで向かった”人間屋”。
そこで出会った2人の船長。いずれも億超えの首だ。
海軍を相手に騒動が起きたものだから、協力して戦う流れとなった。
海賊同士「騒ぎを起こさない」という暗黙の了解があるこの島で、
まさか戦闘がおこる羽目になるとは思わなかったが、
正直、楽しかった。こんなヤツらがいるから、海賊はいい。


とりわけ、あの男。トラファルガー・ロー。
顔を合わせたのは、けして長い時間ではなかった。
それでも、記憶は鮮明に残る。

名前を呼ぶときの癖、
人を自在にバラバラにする能力、
―――そして、あの大きな帽子の下に隠された眼の光。




「おい、キッド」
「…、キラー」
「どうした?上の空だったぞ」

気晴らしに仲間を伴って酒を飲みにきた酒場で、
キッドは昼間のことをずっと思い出していた。
あの眼が頭から離れない。
いくら酒を飲んでも、けして。
むしろ、一気に喉に流し込んだ酒は
脳裏に焼きつくアイツの映像と混じって気分を高揚させるだけ。
キッドは胸の中に燻る得体の知れない気持ちを、
酔いのせいにすることにした。

「いや…、おれは先に船に戻る。適当なとこであいつら連れて帰ってきてくれ。」

まだまだ盛り上がっている仲間達を示すと、キッドは一人で店を出た。



夜風が気持ちいい。
キッドは、ふらふらと船とは反対の方向に歩き出した。
何をしようとしているのか、本当はわかっている。
誰を探そうとしているのかも。
わざと気付かない振りをして夜道を歩いた。

おれは、誰を探してるんだ。
お互い船長同士、殺し合うことはあっても
一緒に旅をするなんてことは有り得ない、
会ってどうする、会わないほうがいいんだ。

ふと我に返り、
馬鹿馬鹿しい、船へ帰って飲みなおそう。
そう思った瞬間―――

「ユースタス屋」

低く、艶やかな、声。

振り返ると、今の今まで脳裏に居た人物がいた。

「…トラファルガー」
「何やってるんだ。仲間はどうした。」
「お前もな。」

まさかの展開に頭が混乱する。

「どこ行くんだよ」
「ちょっと散歩してただけだ、気にすんな」
「ふぅん、なぁ、場所変えて飲み直さないか。付き合えよ」

我ながら不自然な受け答えだと思った。
しかしローはそんな答えをさらりと流し、キッドを船へ誘った。






改定履歴*
20090807 新規作成
20090813 修正
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