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A little early Christmas present

ハロウィンが終われば、次のイベントはクリスマス。
イベント好きなローは、船をすっかりクリスマス仕様にしてしまい、
その主役であるツリーに関しては驚くほどの力の入れようだった。

ダイニングには背丈を超える程のものをひとつ。
そして、船長室には、それより幾分小さなものを。
所狭しと飾り付けられたオーナメントは、月の光を受けてきらきらと輝いていた。

夕食後、いつも通り船長室のベッドに座り本を読んでいたローに、
今日は冷えるから、とキャスケットが紅茶を持ってきたのはほんの10分前。
二人の話題は、自然と今日飾りつけをしたツリーの話になる。

「な、キャス、やっぱりあのプレゼントの箱の形の飾り、買っててよかっただろ?」
「そうですね、ペンさんには付けすぎだって笑われちゃいましたけど」
「ペンは何でもシンプル過ぎなんだよなー、あいつの部屋も殺風景だから、明日飾りつけようぜ」
「はい!どうせ飾るならいっぱいがいいですよね!」

他愛もない話を楽しそうにするローの、ツリーに目線を向けたままの横顔は、
これ以上ないくらいに楽しそうな、幸せそうなもので、
キャスケットは思わず見惚れてしまっている自分に気付き、
その気恥ずかしさを隠すように問いかける。

「ね、船長」
「ん?」
「クリスマスプレゼント、何がいいですか?」
「うーん…、 あ、一個だけ」
「いくつでもいいですよ。なに?」

あれが欲しい、とか、こうして欲しい、とか
そういうことを滅多に口にださないローのことだから、
返ってくる言葉は「何でもいい」とかそういう類だろうと
そう思い込んでいたキャスケットは少し驚いたが、
素直に甘えてくれるのを嬉しく思って返事をする。
しばらくの間の後、ローが小さく呟いたその"プレゼント"は意外なものだった。

「…おれと、ずっと一緒にいろ。一日中、朝まで」

キャスケットは、ローとのセックスの後はいつも夜のうちに自分の部屋へと戻っていた。
本当は、腕にローを抱いたまま、一緒のベッドで眠って、おはようと挨拶をして…
そんな風に過ごしたかったのだが、冷静にローの立場を考えると自分達の仲が
なるべくなら他の船員たちにバレないほうがいいだろう、そう思ってのことだ。

その事に関して、今までローは何も言わなかった。帰れとも、帰るなとも。
だから、納得しているんだと思っていたのに、――まさか、寂しい想いをさせていたなんて。

甘えるのが下手なローの精一杯の言葉が愛しくて、思わず抱き寄せ軽くキスをする。
ローは抵抗することなくその腕の中に納まると、甘えるように頬へとキスを返してきた。
その薄い肩をぎゅっと一度だけしっかりと抱いて、髪を撫でると、すこし距離をとって目線を合わせる。

「…それだけでいいの?」
「うん。約束だぞ」
「はい、でも…」
「?」
「それ、今日じゃダメかな。もうおれ、船長を離したくないよ」

思いがけないキャスケットの言葉に、ローは赤くなる顔を隠そうと咄嗟に俯く。
キャスケットはその頬に手を当てると優しく声を掛けた。

「だめ、隠さないで。ちゃんと顔見せてください」
「…っ」
「船長、好きだよ」
「ん、…おれも。おれも好き。」

どちらからともなく、ふわりと触れるキス。
そのままゆっくりとベッドに沈む二人を引き離すものは何もなく、
ローの希望通り朝まで一緒に過ごせた時間は、
一足早い、クリスマスプレゼントだった。




end

改定履歴*
20091118 新規作成
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