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Happy Merry Christmas!

「もう、今日、なんかすごい楽しかった!」
「満足?」
「うん!このまま帰るの惜しいくらいだ」
「まぁそう言うな。おれは早く帰っておまえのこと抱き締めたいし」
「っ、バカ、そういうこと道端でゆーな!」

まるで普通の恋人同士のように映画を見て、食事をして。
街中がきらきらと光るイルミネーションで彩られた夜にすっかり満足した二人は、
今日一日の想い出を振り返りながら駅から家に着くまでの短い時間を過ごした。

「…あの、これありがとな。大事にする」
「ん、ああ。そうしてな。サイズぴったりでよかった」

固く繋いだ手に光る指輪は、おそろいではないものの
キッドのお気に入りの店で、この日の為にオーダーして準備したもの。
それはローのしなやかな指によく似合っていて、
愛しそうに反対の手でそっと触れるローの柔らかな表情は何よりのプレゼントだった。



****
「ユースタス屋、コーヒー。はい」
「あ、サンキュ」
「ちゃんと砂糖とミルクいれたぞ」
「…いや、おまえコーヒーの前に髪拭け。冷えるぞ」
「大丈夫だって」
「だめ、すぐ風邪引くだろ?ほら、後ろ向いて」

キッドはベッドに並んで座るローの髪がまだ乾いていないことに気付くと
肩に掛けたバスタオルでその水滴を拭い、そのままドライヤーで乾かす。
ローの瞳と同じ深い藍色をしたその髪はあっと言う間に乾いてしまい、
この触り心地のいい髪をもっと撫でていたい、そんな風に思うキッドをよそに
ローは満面の笑みでぎゅっと抱きつき甘えてくる。

「ありがとう」
「どういたしまして」

ふわりと軽く、触れるだけのキスつきで礼を言うローに、
当然物足りないキッドは、終わり?と問いかける。
その言葉で早くも頬を赤く染めたローは、小さな声でううん、とだけ答えると
キッドの肩に手を置いて、けして重くないその体重を掛けながら、2度、3度と回数を重ねる。

「ん、好き」
「あーあ、おまえ、コーヒーは…?」
「いい、あとで飲む…ね、ユースタス屋もして」

蕩けたような目でねだる姿は、いつもより可愛らしく見えるのは気のせいだろうか。
もちろん、一日中ローを抱き締めたくて堪らなかったキッドがその願いを聞かない理由など無く、
深いキスをしながら体を入れ替える。ローの後頭部をそっと枕へと降ろして、
真新しい指輪が光るその手をとると、そこへもキスを落とす。

「――あ」
「もう、おれのモンだな」
「ふふ、そんなの、ずっと前からそうだ。知らなかったの?」
「…おまえマジで可愛い。どうしたの今日」

わかんない、そう言うローの頬へとキスをする。
首筋も、鎖骨も、キスを落とすたびに、ぴくりと震える、その体が愛しい。
どんどんと下がっていく愛撫が臍の下へと達すると、ローは細い喉をのけぞらせた。
唇から漏れる、甘い声がキッドの鼓膜を揺らす。

「ぁ!ん、ユースタスや」
「ロー?」
「今日はおれがしたい」
「…だめ、おれがする」

ローの口淫はとても気持ちよくて、もちろん好きだが――
それはキッドの余裕を消し去ってしまって、性急に事を進めてしまうのがわかりきっている。
今日は、とにかくローを大事に抱きたい。そう思ったキッドは緩く歯を立ててローのものを咥えこんだ。
ローは予想もしていなかった刺激に、悲鳴とも嬌声ともわからない声をあげる。

「ひぅ、――あ!…、んぁ」
「ちょっとくらいイタイのも気持ちいい、だろ?」
「ん、や、…」
「や、じゃないって。ほら、脚開いて、じっとして」

キッドに心底惚れこんでいるローは、キッドに支配されたいという願望が強い。
強引にされるのが好きなローと、するのが好きなキッド。二人の相性は抜群だった。
温かな舌で自身を包まれながら、後ろをひんやりとしたローションで解される感覚に
身を震わせるローの瞳には、あっという間に涙が薄い膜を張っていく。

「あ、あ、…キッド、…ぁ」
「ごめん、―やっぱもう我慢できねぇかも」
「ん、いい、もう、挿れて…?」

――ああ、もっとゆっくり、抱いてやりたかったのにな。
キッドは我慢の足りない自分を自嘲しながらもその欲をローへと沈めていった。
ゆるゆると、でも確実に奥へと誘うように動く、ローの内側。
それは、キッドの自制心を溶かすには十分なほどの快感で、律動はどんどんと早くなっていくのだった。



****
淹れたてだったコーヒーはすっかり冷めてしまい、ローのリクエストどおり
キッチンへミネラルウォーターを取りに向かったキッドが戻ってくると、
ローは薄い毛布を肩に掛けただけの格好でカーテンの隙間から外を見ていた。
ふたりで飾りつけをしたツリーのオーナメントが、外のやわらかな光を受けてうすくきらめいている。

「おい、トラファルガー、風邪引くぞ」
「…雪だ」
「お、寒いと思ったら」
「なぁ、ホワイトクリスマスだな!」

きゅっと抱き締めた腕の中、振り向いてにこ、と笑うローの表情が、とても幸せそうで。
思わずそのすべらかな頬に自身の頬をすりよせる。
ローは一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐに擽ったそうに瞼を閉じて
先程よりもずっとしあわせそうに笑うのだった。





end

改定履歴*
20091216 新規作成
現パロキドロでクリスマス当日編です。
あまあまなふたりが大好き…!
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