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指先のヒミツ

「な、ペン。おれ、あのケーキ食べたい」

そんなローの一言で、ペンギンとローはクリスマスパーティで
賑わっているダイニングを抜け出しローの部屋へと場所を移した。
クルーたちと皆で楽しい時間もいいが、やはり今夜はふたりきりで過ごしたい。
その気持ちが共通のものだったことが単純に嬉しく、表情は自然に笑顔になる。

「あの調子じゃ、あいつら、まだまだ終わりそうにないな」
「仕方ない、この船は船長がイベント好きだから」
「なんだよ、おれのせいかー?」
「クルーが楽しんで航海できるのは、いいことだよ」

冗談めいた会話をしながら、ふたりきりのクリスマスパーティの準備をする。
とは言っても、実際は準備をするペンギンに対して、ローは甘えるように話しかけたり、
クリスマスツリーのお気に入りのオーナメントを手直ししてみたりするだけだったが。
ペンギンは、先程部屋を移動するときに繋いでいた手の指先が冷たかったローの為に、
紅茶を蒸らしている間にバスルームにお湯を張る。

「はい、どうぞ」

かちゃ、と小さな音を立ててソファの前のテーブルに置かれた
淹れたての紅茶からはとてもいい香りがする。
ペンギンがローの為だけに作った苺がのったホールケーキは小さめに切り分けられており、
それに嬉しそうに手を伸ばすローの隣で、ペンギンは幸せそうに微笑んだ。

「ん、やっぱペンの作ったのがいちばん好き」
「そうか、よかった」
「…食べないのか?うまいのに」

少しの間の後、ローはケーキに載っている小振りの苺を選んで手に取ると
甘えるように向き合う形でペンギンの膝に乗ってきた。
あーん、とお決まりの台詞を言いながらペンギンの口許へと苺を近づけると、
ペンギンはそれを受け入れて、そのままローの指をぺろ、と舐める。
まるでそれが合図のように、ふたりを包む空気が甘いものから艶を含んだものに変わってゆく。

「おいしい…?」
「…あまい」

ローの後頭部を引き寄せキスをする。啄むような軽いキス。
目が合うとローは少しだけ笑ってまた瞼を閉じたので、そのまま回数を重ねる。
そっと唇を割り舌を絡めてみれば、ふたりの口の中に広がるのは、苺の甘酸っぱい味。
ゆっくりと唇を離すと、今度はローが誘うような目線で問いかけてきた。

「なあ、聞いたことある?」
「ん?」
「人間の一番の性感帯は指先だって」
「…いや、知らなかったよ」
「ペンギンは、知ってて舐めてるんだと思ってた。…ほら」

言いながらローはペンギンの大きな手を取り、そのしなやかな指先を口に含む。
冷えた指先が温かな口内の粘膜に包まれ、
ゆっくりと擽るように触れる舌先は、そこから聞こえる水音と相まってローの口淫を思い出させた。
途端にぞくりと背中を駆け上がる快感。
思わずこのまま抱いてしまおうかと思ったが――
それを振り切るように、ペンギンはローに声を掛ける。

「…ロー、もう、風呂溜まってるはずだから」
「なんだよ、してくれねぇの?」
「ここじゃ寒いだろ」
「はは、そういうこと?ペンも結構エロいのな」

からかうようなその声を塞ぐようにキスをして、そのままローの服を脱がせはじめると、
ローは「一緒がいい」と言って、ペンギンの服に手をかけた。



****
「こーやって一緒に風呂入るのなんて、久々じゃねぇ?」

広めのバスタブの中、ローは当然のようにペンギンの膝の上に向かいあって座ると、きゅっと抱きつく。
体勢だけを見るとソファでのものと一緒なのに、何も身に着けていないせいで
視界に入ってくるローの姿は先程とは比べ物にならない位に艶かしいものだった。
直に触れるローの肌が驚く程気持ちよくて、ペンギンは軽い目眩を覚える。

「なぁ、続きしよ」

そんなペンギンの心の内が解っているのかいないのか、
そう嬉しそうに言うローの両手が、次第に首に巻きついてくる。
その指が漆黒の髪をさらりと撫で、首筋に感じる舌の感覚。
耳元で甘えるように名前を囁かれると愛しさが増す。

先程は、こんな寒いところでローを抱くわけにいかない、
そう思ったからなんとか理性を保ったが、もう今となっては我慢する理由なんてない。
ペンギンは本能の赴くままにローの細い腰を引き寄せ、
先程よりも深い、噛み付くようなキスをする。
そのまま舌を首筋に滑らせれば、思ったとおりにローの口からは甘い喘ぎが漏れ、
それは、お湯のせいでほんのりと上気した肌と相まって、ペンギンを煽った。

「ねぇロー、」
「ふぁ、ん」
「キスだけで感じてるの?」
「や…っ」

まだ触れてもいないのに、ローのものはもう十分に大きくなっていた。
ペンギンはふと意地悪をしてみたくなり、その先端を撫でるように触れる。

「っあ、ペン…ギン」

腰に添えられていた左手は、ゆるやかに背や腰を撫で、右手はローのものに添えるだけ。
じれったい快感がローを包み、そんなつもりはないのに涙が出そうになる。
いつもだったら、何も言わなくても気持ちいいところを散々弄って、イかせてくれるのに。

「な、ぁ、ペン」
「なに…?」
「なにって、―っあ!」

このまま焦らして反応を愉しむのもいいが、そんなに長く我慢できそうにない。
そう思ったペンギンは、ローの後孔に指を挿れて入り口を解すように動かし、
どんどんその指を奥へと滑らせていく。
ローはその指の動きに初めこそなんとか耐えていたものの、
直ぐに我慢できなくなってしまったようで、首に絡めていた手をそっと湯に沈めて
ペンギンのものを掴むとその大きさと硬さを確かめるように上下に扱いた。

ペンギンの温かな体温も、キスも、力強い腕も手のひらも指も全部好きだけど
――でも、足りない。

「なぁ、オマエのだってもうこんなになってるのに、まだ入れてくれねぇの…?」

こんな風にねだってしまえば、ペンギンの思い通りだと解ってはいたが、そんなことどうでもよかった。
だってもう、苺と一緒に指先を舐められた瞬間から、ペンギンが欲しかったのだから。

涙を湛えた瞳と甘えるようなローの言葉は、ペンギンの自制心を取り払うのに十分だったようで、
ペンギンは無意識に揺れるローの腰を捕まえて抱き上げ、入り口に自身のものをあてがうと
支える腕の力を少しずつ抜いた。
びくびくと大げさに痙攣するローの体に、ペンギンのものがゆっくりと飲み込まれていき、
ローの喘ぎと一緒に次第に大きくなっていく快感がふたりを包む。

「…っあ!」
「っ、はぁ」
「あぁ、ん、ぁ!」

全てを収めた後、突き上げられる度にローのものがペンギンの下腹部に擦れる。
前と後ろ、両方から攻められるような激しい刺激は、ローをあっという間に快楽の淵に追いやった。

「あ、あ、…!ゃっ、イく、あん」
「もう?そんなに気持ちイイ?」
「や、だって、…あ」
「――いいよ、何度でもいかせてあげる」

言い終わらないうちに一際奥まで突き上げられ、その後も幾度となく繰り返し押し寄せてくる快感の波。
散々啼かされて、もう壊されてしまうのではないかと思っていると
今度は不意に零れた涙を舐めとる優しい感覚が与えられる。

苛めてみたり優しくしてみたりのバランスは、
ローの体と心を知り尽くしたペンギンだからこそできる他の誰にも真似のできないもので、
ローはその愛しい腕に身を委ねきっていたのだが、
先程のペンギンの言葉通りの何度目かの射精で、一瞬気を失ってしまうのだった。



****
ぱしゃ、と背中に温かい感覚。
ふと気付けば、ペンギンが手で掬ったお湯をかけてくれていた。

「大丈夫?冷えてないか?ごめん、抑えが効かなくて」
「やさしーのな」
「風邪、引かれると心配するから」
「じゃー、早くベッドに連れてってあっためてくれよ」

風呂とセックスのせいで指先どころか体中が熱くて、
もう温める必要なんてないのだが、…今日だけはもう少し、甘えていたい。
そう思ったローはペンギンに温まった指先に気付かれないよう差し出されたバスタオルを被る。
そのまま抱き上げられてベッドへ移動するときにツリーが目に入ったので、
ペンギンの首に腕を回して囁いた。

「Merry Christmas!」





end

改定履歴*
20091204 新規作成
20091207 修正
ペンロでクリスマス当日編です。
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