01 夜明け
ずいぶん、深く寝ていた気がする。
こんなに深い眠りに堕ちたのはいつぶりだろう。
最近はずっと、ペンギンのことばかり考えて頭がいっぱいでまともに寝れていなかったのに。
ああでも、からだがまだだるい。こんなにぐっすり寝たのになぜ――?
そこまで考えて、昨夜の記憶がうっすらと甦ってきた。
そうだ、おれは昨日、ペンギンと打ち合わせをして、途中で泣いてしまって、
それを見たペンギンにキスされそうになって。
船のトラブル対応に出て行ったペンギンを見送ったものの眠れなくて帰りを待ってると、
本当に戻ってきてくれて、それから…
それから。
おれは、初めてペンギンに抱かれた。
キスや言葉、それから視線。いろんな記憶が脳裏に浮かんでは消えていく。
ひどくリアルなそれは、寝起きでぼんやりしていた頭を一気に現実へと引き戻した。
それまで閉じていた瞼をゆっくりと開ける。
隣に視線を向けると、自分を抱きかかえるようにしてペンギンが眠っていた。
改定履歴*
20100407 新規作成
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