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ずっとこのまま -6-

遠くで聞こえる、自分の名を呼ぶだいすきな声。

そのやわらかな響きに誘われるよう、
シエルは重たい瞼をゆっくりと開けた。

「坊ちゃん、気がつかれましたか」
「…セバスチャン」
「ご気分は…?痛いところはございませんか」

心配そうに尋ねられて、自分が置かれている状況を思い出す。

――そうだ、僕は、はじめてセバスチャンと…

思い出してから顔に熱が集まってくるまではあっという間で、
照れくささに腕で顔を隠そうとする。
でも隠せたのはほんの一瞬で、大きな手はそれをそっと除けると
手のひらを頬に添え、そのままキスを落とす。

「僕は眠っていたのか?」
「ほんの一瞬ですが…よかった、驚きました」
「…ん」
「少し無理をさせてしまったみたいですね。申し訳ありません、抑えが効かなくて」
「抑えなくていいっていったのは僕だから、いい」

シエルははじめての痛みが残り満足に動けないからだで、
大好きな恋人の首筋に腕を回した。
そうすれば、キスをしてくれるのを知っていたから。

「どろどろになってしまいましたね。後ほどお風呂の準備をいたしましょう」
「いい、いいから…」
「坊ちゃん」
「お願いだ、もうちょっと、このまま」

普段のファントムハイヴ家当主としての精一杯背伸びしたシエルからは
想像もつかない、今日3度目となるその可愛らしい我侭。
セバスチャンはくすくす笑いながら、その命令を受け入れる。

「イエス、マイロード」

あなたが望むなら、ずっとこのまま――






更新履歴*
20110128 新規作成
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