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ずっとこのまま -3-

「坊ちゃん、今自分が何を仰ったか分かっていますか?」
「子供扱いするな、…それくらい、わかる」

シエルが赤く染まった頬をセバスチャンの胸にすりよせた次の瞬間、
セバスチャンはそのからだを組み敷いて、そのまま噛み付くようなキスをした。

我慢していたのは、シエルだけではなかったのだ。
本当なら想いが通じたその日にでも抱いてしまいたかったのに、
主人の未成熟なからだを気遣ってぐっと我慢をした。
それから一週間、せめてこれくらいはと毎朝キスをするとき、
そっけないくらいにシエルが感じたのは、そうでもしないと
本当にその場で抱いてしまいそうだったから。

我慢に我慢を重ねていたところでこんな風に至近距離で誘われて、
いかに執事の美学を追求しているセバスチャンと言えども
一瞬理性が飛んでしまったのは、不可抗力だろう。

「んっ!ん、ん――…っはぁ、や、…んっ」

朝の日課のやさしいそれとは全く違う、まるで腹を空かせた肉食獣が久しぶりの獲物に
喰いつくような激しさを持ったキスはいままでシエルが経験したことのないもので、
みるみるうちに両方の目に涙がたまってゆく。

そのうちにその雫がつうっと頬を伝い落ち、セバスチャンは正気を取り戻した。

「…お戯れが過ぎましたね。申し訳ございません、そろそろ私は下がらせていただきます」
「え…嫌だ!このまま朝まで、一緒にいたい」
「いけません。私はあくまで、執事ですから」
「…なぜ?…僕が、おまえの主人だからか?人間だから?…男だから?」
「坊ちゃん」
「好きという言葉は嘘だったのか?」
「坊ちゃん、私の言うことを聞いて」
「僕は、おまえのことがこんなにすきなのに――」

それ以上は、言葉にならなかった。
セバスチャンが、主人のちいさな唇を自身のそれで塞いでしまったから。
シエルが落ち着くまでたっぷりと甘やかすように口付けて、
ぎゅうっと抱きしめると、そのまま耳の傍で想いを告げる。

『そのようなことを言わせてしまって、申し訳ありません』
『好きと申し上げた言葉に偽りなどありませんよ』
『好きだからこそ、貴方を傷つけるのが、怖いのです』
『私とて本当は貴方を今すぐにでも抱いてしまいたい』
『ただ、貴方のからだはまだ幼くて、無理をさせれば壊れてしまいそうで――』

大好きな低い声でゆっくりと囁かれる言葉がふわふわと優しく耳に降ってくるのを、
シエルは大人しく抱きしめられたまま聴いていた。
そうして、ひとつ決心をすると、目を瞑ったまま自分を抱きしめる腕にきゅっとしがみつく。

「――…おまえになら、壊されてもいい。だから、一緒にいて」






更新履歴*
20110128 新規作成
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