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ずっとこのまま -2-

陽がすっかり暮れて晩餐も入浴もすませ、
バスローブからうすい夜着へと着替えさせられる間も
セバスチャンは相変わらずいつもどおり、
完全無欠の執事として凛とした表情のまま。
だから、本当にあの言葉はあの場限りのものだったのかと、
シエルは余計に不安になってしまったのだ。

「では、お休みなさいませ」
「待て、セバスチャン。…もっと一緒にいたい」
「…そのように可愛いことを仰られるのははじめてですね」
「僕だって、たまには甘えたいことくらいあるんだ」

燭台を持って下がろうとする執事を呼び止め、
その燕尾服の裾を握ってらしくない我侭を言ってみる。
そうすればセバスチャンは、燭台をサイドチェストに置いて
くすくす笑いながらシエルの額に触れるだけのキスをした。

思い切って両手を伸ばしてみれば優しく腕のなかに閉じ込められて、
シエルはそのあたたかな感覚を精一杯受け止めるように頬を擦り寄せる。

「お隣にお邪魔しても?」
「…ん」

セバスチャンは恥ずかしそうに返事をするシエルの頬をひと撫でして
上等な燕尾服を脱ぎベスト姿になり、
シエルの肌を覆う掛布をそっと捲って隣に寄り添った。

緊張しているのか、自分から誘っておいて身動きもできない主人を
可愛く思いながら、洗いたてでいい香りのする前髪をさらりと撫でる。
そのまま細い腰へと右手を置けばそれだけでシエルの鼓動は高鳴り、
やっと顔が見えるくらいの明るさの中でも、頬がほんのり赤く染まってゆくのがわかった。

しばらくの間の後、そっと呼吸を整えたシエルは、隣に寄り添う男の顔を仰ぎ見る。
セバスチャンは目が合うと「眠れないのですか?」と優しく微笑んでみせ、
その柔らかな笑顔に誘われるようにシエルはもぞもぞと体をくっつけると二度目の我侭を口にした。

「セバスチャン、もっとぎゅってしろ」
「あまりくっつかれると、我慢できる自信がないのですが」
「…いい」
「坊ちゃん?」
「我慢しなくて、いい」

シエルはきゅっと目を瞑ると、セバスチャンの男らしい首筋に細い腕を巻きつけた。
甘えたいから、という理由もあるけど、顔を見ていられなかったから。
2年近く一緒にいてこんな我侭を言ったのは初めてで、
本当に自分はどうかしてると思うけれど、それ以上に、一緒にいたいという思いが強かった。





更新履歴*
20110128 新規作成
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