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ゆずれないもの

「本気か、船長」


自分でも、声が震えるのがわかった。
随分小さな頃から一緒にいたんだ、ローの性格は十分過ぎるほど解っている。
我儘な性格も、一度言い出したら聞かないところもそれはそれで愛しい。

――それでも。

「ああ、助けにいく。あの傷、そのままほっとけばアイツは確実に死ぬぞ」

聞き間違いであってほしかった。
ローが、麦わらのルフィを気に入ってるのは知っていた。
そいつがマリンフォードに居ると聞いたときから、嫌な予感はしていたんだ。

「もう手遅れだ」
「おれの腕前わかって言ってんのか」

「確実に巻き込まれるぞ」
「だろうな。ま、お前らならうまくやれるだろ。信頼してるぞ」

「あいつを助けることのメリットがない」
「あるさ。おれの数少ない大切な好敵手だ。この先の楽しみをひとつ失わずに済む」

「おれは副船長として、この隙に魚人島へ出発することを提案する」
「つまんねぇこと言うなよ」

こんなの、意味のない押し問答だ。こうなると自分はローには勝てない。

「…どうしても行く、と?」
「オマエにしてはしつこいな」

どう思われても構わない。あなたの事がなによりも大切で、心配なんだ。
そんな事くらい、あなただってわかっているだろうに。

ローの手をとって引き寄せ、腕の中に閉じ込めるように抱き締める。

「無理はしないと約束してくれ」
「……おれがヘマなんかする訳ねぇだろ?」
「ロー、お願いだから」
「仕方ねぇなぁ、ペンギンは」

おれのこと大好きで心配なんだろ、と、くすくす笑いながらおれの髪を撫でる細い指。
おれの名を呼ぶ声、おれを見る瞳、それから、そっと触れる薄い唇。
今腕の中にある、あたたかいしなやかな体のすべて。

――何一つ失わせない。
愛しさを形にしたようなローが自分にキスをする幸せな感覚に、そう誓った。






改定履歴*
20100317 blogにネタ投下
20100401 修正して公開
@シャボンディ諸島停泊中の船長室
578話を見て即脳内で展開されたペンロ妄想です。ほんと私はペンさんに夢見すぎです。
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