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ちいさなワガママ

手付かずの自然がそのまま残り、鳥の鳴き声が響き渡る島に辿り着いて二日目。
今回ログポーズが指したのは、港は勿論、人の気配すらない島だった。
ハートの海賊団の立派な潜水艦の船長室には、ベッドに座り何やら書類に目を通しているペンギンと、
その膝を枕にして医学書を片手に猫のように寛ぐローがいた。

本当は、仕事は隣の自分の部屋で行うところだが、
今日はどうしても一緒に居たいというローの我が侭を聞き入れた形だ。
ローはというと、医学書を読んでいるのかいないのか、
邪魔をしないようにちらちらとペンギンの顔を窺っている。
その仕草が可愛くて、左手でそっと髪を撫でてみると、
ローは相手をしてくれると理解したのだろうか、本を閉じてむくりと起き上がり話しかけてきた。

「ペン、やっぱり明日行くのか?」
「ああ、備品はともかく、食料と水は補給しておかないとな」
「まあそうだな」
「ログも何日で溜まるか解らないし…とにかく人を見つけないと」

海から見渡せる範囲に人は居ないが、とりあえずこの島についての情報は欲しい。
そこで、ペンギンが少数の部下だけを連れて島の奥地へ調査へと赴く予定になっていた。
いくら人の気配がないとは言え、船を空けておくわけにはいかない。
そういう表向きの理由で、ローはペンギンが帰ってくるまでお留守番という訳だ。

実際の理由は、あまりアウトドア的な事に慣れていないローを心配したペンギンの計らいだったのだが。
ローはもちろんその本当の理由も解っていた。
ペンギンに大切に扱われるのはなんだか嬉しいし、感謝もしている。
とは言っても、物心付いたころから隣に居て、自分を最大限理解し甘やかしてくれるペンギンと、
何日掛かるかわからない期間ずっと離れているのは嫌だった。
――やっぱりおれも行こうかな、そう呟いてみる。

「ダメだ、下手すれば何日も野宿になる。そんなの慣れてないだろう」
「そう だけど」
「お前に何かあったらどうする、船長だという自覚を持て」
「でも…一日中おまえが居ないのとか……」

ローが呟く言葉はだんだんと小さくなり、最後は消え入るような音になる。
それでも、言おうとした言葉はペンギンに伝わったようで、
それをちゃんと聴きたいと思いローの腕を掴んで自分の方を向かせると、目を合わせた。
ペンギンの、漆黒の瞳が真っ直ぐにローを捉え、その途端にローの鼓動が早まる。

「ロー、今の、もう一度言って?」
「――っ、何でもねーよ!」
「言って」
「…っ、さみしい、って言ったんだよ、一回で聞き取れ!」

真っ赤になってそう言うローは本当に愛しくて、気持ちを伝えるようにそっと抱き寄せキスをする。
初めは軽く触れるだけだったそれは、回数を重ねる度にどんどん深いものになっていく。
明日からしばらく、触れられない。そんな状況がお互いの感情を煽った。

「んぅ、…あ、」
「ん…」

唇を割り進入してくるペンギンの舌に自身のそれを絡めとられ、一気に熱が上がる錯覚を覚える。
頭の芯が蕩けてしまうような気持ちよさに身を委ねていると、
いつの間にかローの体はペンギンに組み敷かれていた。

「寂しいのはおれも一緒…何日掛かるかわからないから、その分、今日はいっぱい抱かせて」

耳元で囁かれる言葉は、蜂蜜のような甘さを伴ってローの中へと入っていく。
キスをしながら慣れた手つきで服を脱がされ、
そのままペンギンの舌はローの体を下へ下へと辿っていった。

時折、頬や腕へと軽い音をさせてキスを落とす。
膝や踝に至るまで、ローの体の全てを唇と舌で愛するのはペンギンの癖のようで、
まるで全身を食べられているようなその愛撫は、ローのお気に入りだった。

ただ、いちばん触れて欲しいところ――熱く固くなったローの中心には最後まで触れてくれない。
後孔には解すような動きで長い指が触れるのに、そこだけは最後までお預けなのだ。
イきたいのにそれは許されず、じれったい快感に耐えるのもそろそろ限界、
そう思うのが伝わってしまっているのかと思う程の絶妙なタイミングで、
ペンギンはローに視線を向けたまま、その手をとると指先を舐める。

ゆっくりと自分の指に絡む舌を見せ付けられて我慢できなくなったローが、
半ば泣きながらねだるのが挿入の合図になっていた。

「ペン、お願い、おれ、もう」
「…可愛い、ロー」
「おねがい、ペンの、いれて、 あ!やぁ…っ」

言い終わらないうちに、腰の動きだけで入り口を探り当てて入ってくる、ペンギンの大きくて固いモノ。
それから与えられる快感は、散々焦らされた体には大きすぎるもので、
挿れられるだけで精液を吐き出しながらがくがくと痙攣するローの体が落ち着くのを待って、
その後ようやく腰を前後させるのがいつもの始まり方だった。

「あっ、ペン…っきもちいい」
「ん…」
「ふぁ、あ、―んっ」

もっとも、ローは一度達してしまうと、もう後は理性など消え去ってしまい、
ペンギンが満足してセックスが終わるまで、ひたすら喘ぐだけなのだが。
大抵は、そのまま気を失うように眠りについてしまい、次に目が醒めるのは外が明るくなってから。
自分ばかりが乱れているようで恥ずかしいような気持ちもあるが、
ローはそれほどまでに自分を愛してくれるペンギンのことが大好きだった。

今日もいつもと同様に、ローはペンギンにいいように可愛がられ、
その快感に何度も気が遠くなりかけたが、幾度かの自分の内側に満たされる精液の感覚にも耐え、
ペンギンが自分の体を解放してくれるまで、なんとか意識を保った。
どうしても、伝えたいことがあったから。

いつもは聞けない、イった後のペンギンの荒い呼吸と額に滲む汗を嬉しく思いながら、
首に腕を回し、瞳を見つめて声を掛けた。

「…ん、ペン」
「ロー?」
「足りない、から…明日、早く帰ってきて」

――もう、体力も限界の癖に。
寂しいから、行かせないようにする。
ダメだと解ったら付いてこようとする。
そして、それも叶わないから、足りないだなんて下手な嘘をついてまで、
早く帰ってきて欲しいと我が侭を言う。

こんなに愛しい存在は他にない。
ペンギンは、弛緩しきったローの体をぎゅっと抱き締めて唇を耳に寄せた。

「愛してる」
「うん、…おれも」
「なるべく早く帰ってくるから―待ってて」

そう言うと、ローの首筋に一つだけ紅い花を咲かせる。
傍に居られなくても、気持ちは一緒にいるために。
ローは擽ったそうにそれを受け入れると、いよいよ体力の限界とばかりに目を瞑る。
ペンギンがもう一度キスをしておやすみを言う頃にはもう夢の中だった。

朝日が昇るまで、あと数時間。






改定履歴*
20091018 新規作成
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