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所有物の証

体内に留まったままの恋人の熱に浮かされて、
目を瞑ったまま数えきれないほどのキスをうけいれる。
首筋にちくりと感じた痛みにゆっくり瞼を開ければ、
そこには満足そうに微笑む恋人の顔があった。

「…ぺんのばか」
「怒ってるの?」
「そういうんじゃないけど」

ローの首筋にひとつ残る、赤い跡。
セックスの度にひとつずつこうやってキスマークを残すペンギンの癖は、
はじめて抱き合うようになった当初から変わらない。
三日と間隔を空けず行われる行為のせいで、今までローの体から
ペンギンの跡が完全に消えることはなかった。

鮮やかに自分のからだを彩る跡はまるで自分がペンギンのものだという証のようで、
ローはそれを快く受け入れるのだが、今日は違った。
普段ならば腹部や胸部、上腕など目立たないところに付けられるそれが、
ペンギンの気まぐれで今日にかぎって首筋という目立つ場所だったから。
ローの白絹のような肌によく映えるそれを一目見れば、
クルーなら誰でもセックスを連想してしまうだろう。

「おれの跡を見られるのが嫌?」
「嫌じゃない…けど、クルーに見られたら示しがつかないだろ。おれは船長なんだぞ」
「……そうですね」
「ぁ!ばか、抜けって…っはぁ、あん!」
「あなたがセックス中におれよりクルーのことを考えたりするからいけないんです」

既に二度もいかされて、行為の余韻に浸りながらの会話のはず、だったのに。
気付けばご機嫌斜めのペンギンのものがとろとろに解れたローの中を擦って、体温を高めていく。
力の入らない腕で縋り付いてもなんの効果もなくて、
逆にペンギンの首を引き寄せるような形になってしまった。

「あっ、もうでないって……ひぁっ、ぁ!」
「だめ。あなたがでなくてもおれはでるから」
「ひゃぅ!ぺんぎん、だめ…もぅ無理、あぁんっ」
「…声、掠れてますよ?喘ぎすぎです。ちょっとは黙ったら」

言うが早いか、ペンギンの唇がローのそれを塞ぐ。
次の瞬間には舌を進入させて、歯列をなぞって、舌を絡めて。
唇の端から飲み込みきれない唾液が零れるのを厭う事もなく深く深く口付けた。
いつもローに甘いペンギンにしてはめずらしく、否定の言葉は聞き入れないことにしたようだ。

「んんっ、――…っ!ふぁ、ぁ」
「船長、かわいい」
「っや…ぺん…」
「覚えておいて。あなたは船長だけど、おれのものだ」

まるで、脳に直接入力されてるみたいだ、とローは思った。
吐息が耳に触れる位置で囁かれて、快感がぞくりと背中を走る。
その快感に任せて三度目の射精をしそうになるのをありったけの力で我慢して、
顔の横にある筋ばった男らしい首筋に噛み付いた。そしてそのまま、跡をつける。
ペンギンの真似をして、ちゅうっと場違いな音をさせて唇を離して。

「ロー?」
「――…、ペンギンだって、おれのものだ」

自分だって射精直前のくせに不思議そうに顔を覗き込んでくるペンギンにそう言うと、
ローは今度は自らペンギンにキスをした。
舌先でペンギンの唇をつつけば、すぐに迎え入れられる。
熱のこもったキスは二人の頭の芯をとかしてしまって、それ以上会話は続かなかった。

ローは強く打ち付けられる腰に壊されてしまいそうだと思って、
ペンギンはローの細身のからだを壊してしまいそうだと思ってもやめられない。
お互いに惹かれあう運命なのだから所有物の証なんて必要ないのに、
それでも目を離せば相手がどこかへ行ってしまいそうな不安に駆られる。
相手のことを好きになればなるほど、失うのがこわくて不安になるなんて。


だから、跡をつける。それは今までもこれからも変わらない、愛の証。






改定履歴*
20101210 新規作成
ペンギンのキスマークつきのろーたん可愛いですよね。
次の日ろーたんは空気を読めないキャスあたりにキスマーク指摘されて
顔真っ赤にしてシャンブルズします。
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