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苺、ひとつぶ -4-

「ひぁっ!セバスチャン、待てってば!」

くたりと預けたままのからだに添えられていた大きな左手が、悪戯にジャケットをくぐって進入してくる。
シャツの隙間から直に肌に触れられる感覚に、幼いからだがびくんと跳ねた。

「待てませんよ。さぁ坊ちゃん、お口を開けて」
「んん…っ!んう、らめ、って…」

そのまま息つく暇もないうちに、セバスチャンのしなやかな指先がシエルの口内へと進入してくる。
シエルはもうこうなるとたいした抵抗もできず、結局、いつも執事兼恋人にすきなようにされてしまうのだ。

今日も昼間だというのに抱かれてしまうのだろうか。それ自体は嫌ではないけれど
明るいところでの行為は、夜灯りを消してからの行為とは比べ物にならない程恥ずかしい。
どうしようどうしよう、どうしたら夜まで待ってもらえる?

シエルの頭の中は一生懸命答えを探すけれど、明確な答えは出てこない。
そのうちに、口角を上げた意地悪な悪魔の笑顔がより一層近づいてきて、もうだめだ食べられる――
と、目を瞑って覚悟を決めたときだった。



「はい、あーん」

拍子抜けしそうな声と同時に唇に触れたのは、冷たい感触だった。
驚いたシエルは、思わず口を開けてそれを迎え入れてしまう。
いつの間に持っていたのか、セバスチャンは荒い息をつくシエルのちいさな口から指を引き抜き、
ケーキの生クリームのついた苺を代わりに差し入れたのだった。

思わず半分ほどを齧ってしまったシエルの目は一瞬戸惑ったように揺れていたけれど、
口の中に広がる甘さでそれが苺だとわかるとこくんと大人しく飲み込んだ。

「お味はいかがですか?」
「―――〜〜っ」

何事もなかったかのような涼しい笑顔でそんなことをさらりと言ってのける執事に、言葉がでない。
先程まではセックス直前のようなキスをして、口に指を突っ込んで散々犯してくれたくせに。
きっとこの悪魔は、うろたえる僕を見て楽しんでいたんだ――そう思うと、悔しくて仕方ない。

どうにか仕返しをしてやりたいと考えを巡らすシエルの目の前にあるのは、
セバスチャンの指だった。そして、それを伝う瑞々しい苺から零れる果汁。
シエルは悪魔の手を両手で掴むと、できるだけゆっくりと、その指先を付け根からぺろりと舐め上げた。

この間初めてやった口淫を思い出しながら、できるだけ、それっぽくなるように。
反応が気になってちらりと目線だけを自分を膝に乗せている目の前の男の顔に移動させれば、
そこにあったのは、少し驚いたような、それでいて嬉しそうな表情だった。






改定履歴*
201103019 新規作成
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