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トキ音前提HAYA音R18

彼はボクだけのものじゃないって、初めからわかってた。



セックスの快感で潤んだ緋色の瞳も、熟した林檎のようにあかく色づいたやわらかなくちびるも、すこし癖のあるこのあたたかな色の髪の毛も、ぜんぶぜんぶ、他の誰かのものだ。

『HAYATOかっこいーしセックスすんのは別にいいけど、俺、カレシいるよ?』

そんなの、彼を初めて抱く時から承知の上だったのに、どうして今更それがつらくなるんだろう?

昼間の太陽のような笑顔からはとても想像できない色気を纏った彼が艶やかな表情と仕草で『彼氏』を誘い、組み敷かれて、はしたなく脚を開き、喘ぐ姿。
彼を抱いていると嫌でもその姿が脳裏に浮かんで、その度ボクの胸は灼けつくようにずきずきと痛む。

今は可愛らしい喘ぎ混じりにボクの名前を紡ぐこの声で、明日には他の男の名前を呼ぶのかと思うと、その口をずっとキスで塞いでいたくなる。
このあたたかな肌の上を他の男の手が滑るのかと思うと、からだ中にキスマークをつけておきたくなる。
お前の愛しい愛しい恋人は、ボクのコイビトでもあるんだよって、柄にもなく一矢報いてやりたくなるよ。

こんな感情を知ることになるなんて思ってもいなかった。好きになればなるほど苦しくて仕方なくて、いっそ首輪をつけてこの部屋から一歩も出さず繋いでおきたい、だなんて。


「あっ、あ、やぁっ、ん、きもちい、もっと」
「――音也くん」
「…? なに? HAYATO……ぁっ、ひゃあっ」
「ボクのこと、すき?」
「あぅ、……どうし、た、の?」
「聞きたいの。キミのほんとのきもちが、知りたいんだよ」

体だけの関係ではじまったふたりなんだから、心までを望むことはルール違反だってことくらい、ちゃんとわかってるよ。だから今までボクはどんなにそれを伝えたくても、ぐっと飲み込んで我慢してた。

でも今日はどうやら、我慢の限界みたいだ。

「音也くん、ボクはキミのことが、だいだいだーいすき、だよ。音也くんは……?」

ねぇ、彼氏がいるのにボクを受け入れてくれた優しいキミは、こんなボクのルール違反にも、その場限りの嘘で酔わせてくれるよね?

「……ふふ、うん。俺もHAYATOのことが、世界でいちばん、だぁいすきだよ」

思ったとおり、彼はセックスの途中だというのにボクの髪を撫でながら最高の答えを耳元で囁いてくれた。

――だからもっと、いっぱい擦って? HAYATOのせーえき、俺の一番奥にちょうだい

続いて快感を強請るあまやかな声は、まるで毒のよう。
ボクは一度限りと決めた彼からの『好き』の言葉を飲み込むようにひとつ深呼吸をすると、そのお返しに彼の細い腰を抱え上げ、愛しいコイビトが望むままセックスを再開した。





end

改定履歴*
20120828 新規作成



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