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上手にできましたか? -2-

初めて舌先で音也の性器に触れた瞬間、トキヤはそれまで自分の胸を埋め尽くしていた恥ずかしさがすうっと消えてゆくのがわかった。代わりにそのうすっぺらい胸を支配したのは、音也に気持ちよくなって欲しいという想い、ただそれだけだ。もともとこの体勢も、トキヤが提案してはじまったようなものだった。セックスの時、いつもはされるばかりの自分にも何かできることはないか、と音也に意を決して聞いたのだ。そうしたら音也は、ほんの一瞬だけ目を丸くした後にひどくあまったるい声で、ありがとう、とトキヤのことを抱きしめた。『お前が受け入れてくれるだけで俺は毎回しんじゃうくらいに嬉しいんだよ、でも、トキヤがそう思ってくれてるんだったら――…俺がやってるように、舐めてくれる?』耳元で囁くように紡がれた言葉にトキヤがこくんと頷くと、音也はひと呼吸で息が続く限りの長い長いご褒美のキスをくれた。まさかこんな体勢にされるとは予想していなかったが、キスでぼんやりした頭では拒否することなんて思いもつかなかった。

音也のキスの効果は抜群だった。舌を這わせればぴくんと震える陰茎が愛しく思えたし、初めて味わう独特の味も、鼻先を包み込む雄のにおいも、トキヤの興奮を高める要素になった。トキヤは陰茎に舌を這わせながら普段自分がされている動きを思い出し、必死でその真似をしようと試みた。

陰茎の裏筋を唾液でたっぷり湿らせた舌でべろりと舐めあげ、焦らすように亀頭に啄ばむだけのキスを落とす。尖らせた舌でカリの部分に沿ってくるりと一周すると、また先走りが零れてあの味がした。中指と親指でわっかをつくり、陰毛を巻き込まないように気をつけながら根元を掴む。亀頭をぱくりと加え、舌を押し当てながら喉の奥へと陰茎を迎え入れた。
ただでさえ大きかった音也の性器はトキヤの愛撫に素直に反応し大きさと固さを増していて、とてもではないがその全てを口の中に収めることはできない。根元に作っていたわっかに中指も添えて、咥え切れない部分を擦った。こんなに大きなものがいつも自分の中に入って、奥深くまでを貫いて、酔わせてくれているのかと思うと、どきどきと胸が高鳴った。この鼓動が音也に聞こえてやしないかと思うと恥ずかしくて、トキヤは思わず左胸に手を当てた。

「と、きや、待って……っ、うあ」

背後から、普段よりも幾分低い音也の声が聞こえる。それはトキヤが今まで聞いたことのない、気持ちよさを押し殺したような声だった。聞いたことはないからわからないのだけど、トキヤにはなぜか絶対にそうだという確信があった。あるいは、音也に気持ちよくなっていてほしい、という願いがあったから、そう聞こえたのかもしれない。

実際、音也を包む快感は腰がひけるように強いものになっていた。この行為を始めたときの、微かだった快感なんてもう遠い昔のことのようだ。音也に毎晩のように愛されているだけあって、トキヤの口淫はよくコツを掴んだものだった。夢中になっているトキヤの口からは飲み込み切れない唾液が零れ、陰茎を擦るくちびるや手でぐちゅ、じゅぶ、と音がした。トキヤの性器の先端からは、先程一滴だけ零れた先走りが呼び水だったのかと思ってしまうくらいに後から後から溢れ出し、音也の胸へと透明な糸を引いていた。聴覚と視覚、それからダイレクトに感じる性器への快感に、音也は一瞬だけ、きっとトキヤが心の奥で望んでいるように、このまま射精してしまおうかと思った。

けれどそれでは、自分だけが気持ち良いままで終わってしまう。トキヤのことを心底好いている音也にとって、それは到底許されることではなかった。音也は、快感に抗うようにふるふると首を横に振ると、ぎゅうっと奥歯をかみ締めてベッドに転がしたまま忘れていたチューブ入りのローションを掴みキャップを捨て、それをそのままトキヤのアナルに突きいれた。チューブの口の部分が丸みを帯びているこのローションに出逢ってからは、ずっとこれを愛用してきた。購入する音也自身が我慢の効かない性格で、こういう風に強引に解したいときがたまにあるからだった。最近では半ば惰性で買い続けていた部分もあったが、その習慣にすら感謝したいと思えた。ぐっとチューブの腹を押すと、トキヤの細腰がびくんと跳ねる。ひんやりした異物が挿入ってきたことに驚いたのだろう。

「冷たい? ごめんね、すぐあったかくなるから」

興奮で口早になってしまったので、ちゃんとトキヤに聞き取れたかは自信がなかった。音也はいつもの癖でひとさし指と中指をぺろりと舐めると、まず中指をトキヤのアナルへぐっと挿入した。

「んんっ! ぁう、音、也」

トキヤの腰が、もう一度跳ねる。それと同時に、音也の陰茎があたたかい口内から解放された。もう咥えていられないのだろう。トキヤは音也の下腹に頬をぴたりとくっつけ、突然与えられた快感に耐えていた。

「……トキヤ、ほら、口が離れてるよ。今日はお前が気持ちよくさせてくれるんでしょ?」
「あ、ぅ、ごめん、なさい」

音也の指が動くたびに、ぐちぐちという先程よりも幾分粘着質な水音が部屋に響く。それから、先程まではなかったトキヤの喘ぎ混じりのあまい声も。トキヤは、先程までのように音也の陰茎を咥えることはできなかった。アナルを解すように弄られながらでは腕に力が入らなくて、自分のからだを支えることができないからだ。陰茎に手を添え、舌を伸ばして舐めるのが精一杯。時折それすらもままならなくなり、そのたび音也は優しく口淫を促した。何も絶対にさせないといけないわけではなかったが、快感に震えながらも頑張る恋人の姿を見たかった。

「もういいかな…、トキヤ、ありがと、もういいよ」
「あ……、」
「よいしょっと」

十分にトキヤのアナルが解れた頃、音也はようやく指を抜いてトキヤのからだの下から抜け出るようにからだを上にずらし、ベッドに座った。そうして、トキヤも向かい合わせに座らせる。腰を引き寄せられたトキヤの性器に、音也の性器がぐりぐりと押し付けられた。トキヤが今日初めて感じる、陰茎への直接的な刺激だった。






改定履歴*
20120730 新規作成
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