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2/22の奇跡 -2-

「やだやだぁセバスチャンのばか!へんたい!ふにゃああん」

いつもよりいくらか高めのシエルの喘ぎ声が、セバスチャンの鼓膜を心地よく揺らし始めてから
どれくらい経っただろうか。朝の紅茶も着替えも放りだして、ふたりはベッドの上にいた。
部屋を満たしていた春らしいさわやかな空気が、あっという間に淫靡な夜のものに変わってゆく。

「坊ちゃん、そのように腰を揺らしては舐めにくいですよ」
「やだっ!そこ、だめだって」
「そこ、とは?ああ…私の指をいやらしく咥え込んでいるこの入り口ですか?」
「!!…も、やめ…はずかしい、から」
「そうですね、坊ちゃんはいやいやしながらもこうやって吸い付くように咥えこむ恥ずかしい穴をお持ちだ」
「ぅ…ひっく、セバスチャ…いじわる、いやにゃあ…」

言葉で苛めれば苛めるほど、シエルの語尾は無意識に猫らしいものに変わっていった。
うつ伏せにして腰だけを高く上げさせ、ゆるやかな丸みの奥でひくついている入り口、
そこに指を這わせゆっくり抜き差ししながら舌でなぞると、びくびくと腰が揺れる。
口では嫌だと言っていても、性器から零れる先走りと自分を振り返って誘うように見つめる視線は
確かに感じているときのもの。そのことに気付いていたセバスチャンは、愛撫をやめることはなかった。

「意地悪なんて心外ですね。可愛がっているのですよ?
 …その証拠に、ちゃんと坊ちゃんの気持ちイイところを教えてあげましょう」
「え」
「ここ、しっぽの付け根。猫さんはここが性感帯らしいですよ?」
「!!――っふ、ふにゃぁあっ!らめ、はなして、はな…っセバスチャぁっ」

シエルの細い脚に巻きついていた艶やかな毛並みの尻尾。それをつぅっと撫であげて、付け根を握る。
ゆるゆると強弱をつけて握りこみながらまた後孔に舌を這わせてみれば、シエルの口からは
焦ったような気持ちいいような、なんともいえない可愛らしい喘ぎが零れた。

内容としてはセバスチャンの行為を制止しようとしているのものなのだが、もちろんそんなことで
止めるつもりはない。むしろこの悪魔は、嫌がられれば嫌がられる程に優しく苛めて乱れさせたくなる
という困った性癖を持ち合わせていた。
いつもなら理性がそれを抑えるのだが、今日は恋人のあまりの可愛さにどうも抑えが利かない。

絶え間なく上がる嬌声に目を細めながら尖らせた舌を一層深くまで差し込んで、
まっかに膨張して震えている成長途中の性器を二、三度扱いてみれば、
シエルは全身をびくびくと痙攣させながら白濁を吐き出した。
かくんとちからが抜けたようにベッドに沈みこもうとするからだを支え、
覆いかぶさるように耳元に口を寄せてキスをする。

「…はぁっ、はぁ」
「おやおや、イっちゃうくらいに良かったですか?」
「ぅ、おまえが、やめないから…」
「それは申し訳ありません。あまりに気持ち良さそうな声をお聞かせいただいたのでつい」
「ばか、へんたい」
「しっぽだけでイっちゃうような猫さんには言われたくないですね」
「…僕、本当に猫になったらどうしよう」
「そうですね、そうなったら…いえ、それは後にしましょう。それよりも」

自身の出した白濁で濡れそぼったままのシエルの性器を撫でながらねこみみに直接囁いて、
もう十分に大きくかたくなったモノをシエルの後ろに宛がうと、シエルはその熱にぴくんと反応して
背筋を震わせる。言葉は何も出なかったが、かわりに下の口がひくひくと強請るように動いた。

「さぁ坊ちゃん、目を開けて、こちらをむいて」
「ぅ…?」
「そう、イイコですよ?そのまま」
「――!っにゃ、にゃあぁ!」

言われるままシエルが一生懸命にうしろを向くと、次の瞬間ぐいと腰を後ろに引かれて
一気に突き入ってきたセバスチャンの熱いものが、シエルの狭い内側を擦りあげた。
いくら指と舌で慣らされていても、イったばかりのからだが急激に受け入れるには
その質量は大きすぎるもので、シエルの口からは悲鳴とも嬌声ともつかない声が上がる。

「ゃあ、にゃああ、っくぅ、んっ」
「嗚呼坊ちゃん、すごく可愛いですよ…私が突き上げるたびに、黒い尻尾がゆらゆら揺れて。
 まるでもっともっととおねだりされているようですね?」
「や、違…っひぁんっ!あっ、あっ、セバスチャ…」
「このふわふわの耳だって、ちゃんと私の声をきくためこちらを向いてくださる。うれしいです、坊ちゃん」
「にゃぁっ!だめ、さわっちゃダメ…だって」
「どうして?撫でるたびにきゅうきゅうと私のものを締め付けてくださるのに?」

言いながら細身のからだをひょいと抱えて背面座位にすると、シエルは甘えるように
黒の艶やかな尻尾をセバスチャンの腰へと巻きつけた。
その様子が可愛くてくすくす笑うと、吐息すらも快感になるのか腕の中の幼いからだはぴくんと跳ね、
それが重力と相俟って余計に深くセバスチャンのものを奥深くまで飲み込んでゆく。
片手でがっしりと支えられ、空いた手では乳首を撫でられ、ねこみみを甘噛みされて。
その幾重にも重なる刺激で、シエルはあっという間に快楽の淵に立たされた。

「っ、ぁ、も…ダメ、いっちゃ…!」
「いいですよ、坊ちゃん」
「んっあ!あ、ぁ、にゃぅ、ふにゃああん!」

限界を訴えた途端に早くなる律動にシエルはがくがくと揺さぶられ、
追い詰められていた幼いからだは、一際奥までを貫かれると同時に二度目の吐精をした。
きゅうっと奥へ連れて行かれるように後ろが締まり、セバスチャンもそのまま暖かい体内に
精液を吐き出してしまう。おそらくその熱い迸りに反応したのだろう、シエルはニ、三度
大きくからだを震わすと、そのままかくりと首を垂れ気を失うように目を瞑ってしまった。

そっと頬を撫で名を呼んでみても目を覚ます様子はなく、
セバスチャンは欲望の赴くままに主人を抱いてしまったことに後悔しながらも、
ほんの少しの間だけと決めて暖かい主人ごと毛布を被って愛しむように背中を撫でた。

『貴方が本当に猫になってしまっても、私がずっとお傍に居ます。片時も離さぬよう、ずっと傍に。』

後で伝えると約束した、主人の問いかけに対する自分の答え。
果たしてこの想いは、最後まできちんと言葉にできたのだろうか。
それすらも分からぬくらいの急激な眠気に誘われるまま、深い眠りに堕ちていった。




****
ぺちぺちと、頬を叩かれる感覚に眠っていた感覚が引き戻される。

「起きろ、セバスチャン!」

耳に届いた主人の声で、眠りにつく前の出来事が一気に思い出され、セバスチャンは慌てて目を開けた。
目の前にいるのはいつものシエル。そう、猫耳もしっぽもどこにもない、いつものシエル、だ。
夜着を纏ったままの格好で、自分を腕の中に閉じ込めて寝ている執事の頬をぺちぺちと叩いている。

「やっと起きたかこのバカ執事!」
「え…えっと、」
「いい加減に離せぇえ」

顔を真っ赤にして身を捩り恥らう様子までも、先程までの従順な仔猫とは違う、いつものシエル。
セバスチャンはそのまるい頭をそっと撫でて、どこにもねこみみがないことをようやく把握すると
慌ててシエルの両腕を掴んで質問を投げかける。

「坊ちゃん、ねこみみはどうなさいました?」
「………は?」
「それにあの愛らしいしっぽも…ああほんとうに無い!」
「ひゃあ!朝からそんなトコ触るな!寝ぼけるのもいい加減ににしろ!」
「ゆ、め…?」
「僕がねこみみだのしっぽだの、夢に決まっているだろう。猫馬鹿もそこまでいくとある意味すごいな」

夢。シエルがそういうなら、そうなのだろう。それにしてもやけにリアルな夢だった、
仕事も忘れて昂ぶった感覚もあまい汗のにおいも、手にとるように思い出せるのに。
それにこの情事の後特有の気だるい感覚――…

「それより、はやくバスの準備をしろ」
「は?」
「は?じゃない!僕が寝てる間に突っ込んで中に出したのは誰だこの変態!」

その言葉に思わず細い足首を掴み思い切り開かせると、
シエルのほっそりした内腿をひとすじ、白い液体が伝ってシーツに染みを作っていた。
念のためにと指を挿れると、こぷりとあふれ出す白濁。
慌てたシエルの力一杯の抵抗である枕攻撃を甘んじて受けながら、セバスチャンは先程の出来事が
夢でないことを確信し、なんとか再現できないかと考えを巡らすのだった。






改定履歴*
20110223 新規作成
以降しばらくの間、セバスチャンがシエルに「にゃあって鳴いてみてください」
とおねだりして殴られるという流れが日課になったとかならなかったとか。
以上、2011年猫の日でした。お付き合いありがとうございました!
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