Xmas … 発端「んぃんまう?」
口の中に団子を入れたまま問い返す幸村に、政宗は何言ってるか解らないなんて絶対突っ込まねぇとか考えていた。
二人より下がった位置で佐助は疲れたように小さく溜め息を吐く。
「とは、何でござるか」
団子を飲み込んでから質問を続ける幸村に諦めて政宗は口を開いた。
「ah…祭、みたいなもん、か?」
天井を仰いで訥々と喋る。自分から言い始めたのに既に説明が怠い。
「Santa Clausがpresent持って来てくれるぜ」
「三択?」
首を傾げて呟く幸村に佐助がゆっくり立ち上がりながら言い足した。
「三太さんが素敵なお土産持って来てくれるんだって」
「ええ!?」
誰!? と言いながらも幸村は素敵なお土産が何なのか気になっていて、黙って部屋を下がろうとした佐助の裾を掴んだ。
「佐助?どうかしたか?」
「くりすますの用意をするんでしょ?」
「む。そうか。何をするのだ?」
「…俺さまに訊くの?」
無表情を作って言う佐助を笑いつつ、政宗は部屋の外が騒がしくなった事に気付く。
「客が来たんじゃねぇか?」
「え。まさか?」
「えっまさか!?」
佐助を追い越して、幸村が廊下を駆けて行く。
「旦那、廊下は走らなぁーあぁー」
廊下を曲がり切れず庭に飛び出す幸村に零しながら、後ろからついて来る政宗を見た。
「…誰?」
「どっちだろうな」
いつもの小舅じゃないのかと佐助は思ったが、誰だろうと碌な事にならないと知っていた。
その頃先に一人で門に着いた幸村は、閂に手を掛けて外に問いかける。
「三田殿!?」
「あ、幸村ー?開けてー」
返ってきた声は震えていた。
「なんだ慶次殿か」
「せめて開けてくれよ!」
手を放し引き返そうとする幸村に追いついた佐助が問う。
「旦那、誰だったー?」
「慶次殿だった」
「よし、閉めとけ!」
「酷くない!?」
寒い寒いと震えながら屋敷に引き返す二人に呆れながら政宗は閂を外す。
「Hey,前田の。welcome」
「呼ばれて来たのに酷い扱いだ!」
やっと招き入れられた慶次は大きな袋を背負っていた。
「さて、始めるか。Are you ready?」
入れやがったと舌打ちする佐助の隣で幸村は何が始まるのだろうと政宗を見る。
「派手に飾って美味いもん食って酒飲んで騒ぐのさ」
Let's party!と笑った政宗に佐助は自分ん家でやってくれと項垂れた。
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1.全員登場 →2.伊達真 →(3.伊達佐→4.慶幸)