春日山忍法帖「帰れ!お前の顔など見たくない!」
門を背にしてかすがは言う。目の前には佐助が笑って立っていた。
「主人を裏切ってあのような…、あんな…!」
怒りに戦慄くかすがに、佐助は肩を竦めて笑った。
「裏切ってないよ。仕事の内だろ?」
「男相手に盛るのがか!?」
声高に佐助を睨むかすがに、佐助は片手で耳を塞ぎながら苦笑する。
「やー、まだお昼ですよ、かすがさーん」
「!! うっ、うるさい!消えろ!」
かすがは己の発言に赤面して元凶に向かって苦無を構えた。
「今日は門を開けるのがお仕事なんだ」
佐助も手裏剣を出して構えるが顔は笑ったままだ。
「そーゆー相手は戦が終わった後でゆっくり…」
「っ誰でもいいのか貴様は!」
投げられた苦無を躱して、佐助はかすがを指差して笑う。
「仕事抜きはかすがだけさ☆」
「命が惜しければ逃げろ…」
怒りに声が震え、殺気を露わにするかすがにも佐助の笑顔は動じない。
「そんなー。忍同士、仲良くしよー…」
「ッ寄るなァ!!!」
佐助が一歩踏み出した途端に、かすがは身の危険より嫌悪感からか青褪めて後退りした。ぶつかった勢いで背中で門を開いてその陰に隠れる。隙間から、震える金の髪が覗いていた。
「…かすがぁ?」
佐助の頓狂声に、我に帰ったかすがは、下唇を噛んで門から離れる。
「抜かせてしまった…!」
涙目で門に背を向けるが、門の前の佐助には青褪めた顔色しか判らなかった。
走り去るかすがを茫然と眺めてから、中途半端に開いた門を自力で大きく開け放つ。
「……もっとかっこよく通りたかったなぁ…」
門を潜って呟いてみたが誰も聞いてはくれなかった。
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