獣王子


王子は欲しいものは全て手に入れてきた。 譲って貰えなければ奪えばいい。王子には容易いことだった。
王子は旅人が持っていた星を閉じ込めた硝子玉を見て、一目でそれが欲しくなった。大金を積んでも宝石を並べても旅人は首を縦には振らず、王子の国を後にした。
旅人を見失った王子は、同じものを持つ者がいるという噂を聞き、兵士を連れて力尽くで奪い取った。
傷を負い、眼を奪われた龍は王子に呪いをかける。
野獣のような心を持つ王子はその心に見合った姿形になるがいい。
多くの兵を失った王子は星を手に入れて意気揚々と帰途につく。けれど城に着く前に王子は獅子の姿に変わっていた。
国民は逃げ惑い、兵士に矢を射かけられ、這々の体で逃げたかつて王子だった獅子は怒り狂い、両眼を失った龍を探すが、龍は既に行方を眩ましていた。
その喉をこの牙と爪で引き裂いてやらねば溜飲は下がらないと獅子は龍を探し回る。
手に入れた星の眼をいつの間にか失くしていたがそんな事には気付かない。





2013/02/16 comment ( 0 )







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