虹のつくりかた旅人は泣いていた。
重い荷物は持っているだけで苦しさが増すばかりだった。だから世界の果てに全部捨ててきた。
その場所を忘れる為に、道筋を記した地図を砂漠の真ん中に埋めた。
これで思い出すこともなくなるだろう。
旅人は空を見上げて虹を見つけた。世界の果てから伸びているのではないかと思うほど、とても大きな虹だった。
虹は砂漠の真ん中に下りてきて、旅人が埋めた場所にきっちりと着地した。
捨てた荷物はとても大切な思い出ばかりだった。持っているだけで辛いのは、大切なものにはもう思い出のなかでしか逢えないとわかっているからだ。
捨てたものは全部宝物だった。
旅人は世界で一番嫌われていたので、涙が川を 作って海になるまで泣き続けても止める者もいなかった。