3.彼の部屋でベッドの下に
エロ本を探してみる


「こんばんはー」
「お邪魔します!」

玄関で元気に挨拶した二人に政宗は溜め息を吐いた。

「前回でここまでの展開じゃねェのか」
「四次元な発言をするな」

靴を脱ぎながら呟いた政宗の後頭部を佐助がはたく。

「っ痛、アンタな」
「ッハ、ぶしょん!」
「汚ね!」

文句を言おうと顔を上げた政宗に幸村がくしゃみをかけ、一人で納得したように、やはりな、と呟いた。

「濡れたままでは風邪を引く。風呂に入ろう」
「家主にせめて一言断れよ」
「着替えもよろしく!」

堂々と部屋の奥へ進んで行く幸村に政宗が声を掛けたが佐助に流された。
諦めて着替えを用意しようと自室へ向かう。

「キャー!」
「どうした!?」

佐助の悲鳴に政宗が駆け付けると上半身裸で湯気を出した小十郎が立っていた。

「覗かれました」
「羨ましいhappeningだな」
「歯ぎしりする程にですか」
「片倉さんさすが!キレてる!」
「うるさい」

佐助が横から声を掛けるが一蹴され、小十郎は佐助の目から隠すように上着を羽織る。

「極楽〜」
「もう入ってるし」

会話している隙に幸村は佐助すら驚く素早さで湯船につかっていた。

「Hey小十郎、beer飲んだっぽいが飯は食ったのか」
「あー。まぁ、はい」
「何を?」
「…あー」

政宗の問いに小十郎は黙り込む。その膝を蹴って政宗は逸らされた顔を睨み上げた。

「食いたくないなら流し込め。人間はalcoholで動いてんじゃねェぞ」
「はぁ」
「coffeeで動くものでもねェからな。言っておくが」
「…留意します」
「OK。佐助これ着替え。小十郎は作る暇があったら寝るよな」
「落ちますね」
「だよな」

佐助に服を押しつけキッチンで考え始めた政宗に佐助はぽかんと口を開けた。
政宗が何事かと佐助を見る。

「どうした?」
「いやぁ…政宗くんがまともに見える…」
「オレはalways正常だろうが」
「正常なひとはこんな濃いのは読まないってェの」

言って佐助はキッチンのテーブルに雑誌のようなものを数冊放り投げた。
政宗が茶碗片手に思わず声を上げる。

「おまえどこから持って来た!?」
「彼の部屋でベッドの下にエロ本を探してみた」
「今回のthemeをさらりと流すんじゃねェよ!押し問答の末押し倒すという醍醐味が!」
「そんな裏設定は知らん」

言い合う二人の目の前で小十郎が感心したように本を捲る。

「なかなかの趣味ですな政宗様…」
「お前には負けるぜ…」

フ…、と流し目で笑う政宗に小十郎はにやりと笑い沈黙を返した。佐助が二人を見ながら首を傾げる。

「何か芽生えちゃった?」
「いいお湯でした!」
「濡れたまま出て来んじゃねェよ。ちゃんと拭け」

ほかほかして風呂場から飛び出してきた幸村の頭をタオルで押さえ付けながら政宗が言う。

「うわー旦那の面倒まで…信じられない…」

おののきながら感心する佐助に小十郎が偉そうに返す。

「お前がいない所ではそれほど浮かれトンチキでもないぞ政宗様は」
「いつもこうならいいのに」
「そうだな。お前が存在しなければいいのに」
「いやいやあの人がトチ狂ってんのは俺のせいじゃないから」

首と手を振る佐助を小十郎は見もしない。幸村をキッチンに座らせて政宗は佐助の腕を取って小十郎を見る。

「小十郎は飯食ってろ。佐助showerしろ風邪ひくぞ」
「んー、ありがとー」
「小十郎殿は茶漬けで腹が満たされるのでござるか」
「…胸焼けしそうだな…」
「少食でござるなぁ」

ケーキをホールごと食う幸村を正面に見せられながら小十郎は渋面で茶漬けを喉の奥に流し込んだ。

「うわぁ!? どこまでついて来てんだあんた!?」
「オレも雨に濡れたからな。温まらないと」
「だったら先に入れよ!俺後でいいってちょっ、待っそれはさすがに!待っ」

佐助の声が何やら喚いていたが幸村は満面の笑みでケーキを頬張る。

「甘ーい」
「…………」

目の前のケーキで頭がいっぱいなのかそれとも雑音は耳に入らないのか佐助の声は雑音処理されているのか全部聞こえていてこの態度なら只者じゃねェな真田、と思う小十郎も、巻き込まれたらたまったもんじゃないと結局茶漬けを啜っていた。

「はっくしゅ!」

佐助は風邪をひいた。

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彼の部屋でベッドの下にエロ本を探してみ




2013/03/23 comment ( 0 )







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