4.予想外のお見舞いに、
慌てて寝たふりをした「…ッくしゅっ」
赤い顔をした佐助は鼻を啜るとベッドにさらに身を埋める。
「うー。なんで俺だけ…」
一人言で文句を言っていると、足音が近付いてきてノックもせずに扉を勢いよく開けられた。
「How are you?」
「ZZz…」
「寝たフリをするならもう少しやる気を出せ」
背中を向ける佐助に言いながら政宗はベッドの端に腰掛けた。
「見舞いにiceと桃缶とメロンを買ってきたんだが」
その言葉に佐助は首を回して政宗をちらりと見る。
「幸村に全部食われないといいな」
肩を竦める政宗の手が何も持っていないのを見て佐助は溜め息を吐いて背中を向け直したが、布団を捲られてつい振り向いてしまった。
「コラ!何勝手に入ってんだオイ!」
「目の前にbedがあったら入るだろ」
布団を捲り上げ、突っ込まれた政宗の両足を足蹴にしながら佐助が言う。
「自分ン家ならな。ここは俺の部屋だからやめろ」
「お前のものはオレのものだろ?」
「帰れ武」
「オレのモノがありながらタケシって誰だ!?」
「なんか文章おかしいな!あんたの事だよこのジャイアンが!!」
佐助に怒鳴られて政宗は一瞬目を見張ってから照れた。
「そんなに褒めなくても」
「どこに褒め要素があったよ!?」
「オレに奴ほどのcharismaがあるという話じゃねェのか」
驚いたように言う政宗に佐助は全部諦めて寝返りをうちながら背を向けて吐き捨てる。
「うるせェばーかリサイタル開いてろバーカ」
「何?歌って欲しい?仕方無ェなぁ、…耳元で囁いてやろうか?」
「やん」
政宗は訊ねることで実行し、佐助は思わず悪寒に漏れた声に固まっていた。
「…………。は…ッ」
政宗も佐助の予想外の反応に固まっていたが、佐助が何か呟こうとしたので我に帰って次の言葉を待つ。
「…恥ずかしい…!」
変な声出た、と耳まで真っ赤にして顔を両手で覆う佐助に政宗の脳内で音を立てながら花が咲いた。
「佐助!風邪は治ったか!?」
「桃缶食ったー?風邪ひいたらやっぱ桃だよなー!」
「風邪の時はアイスだろ!なぁ佐助!?」
ベランダに繋がる窓から幸村と慶次と元親が先を争うように顔を出した。
「「ZZz…」」
「いや二人共、無理だし」
揃って空鼾をかく二人に慶次が裏拳で空中に突っ込む。
「何あんたまで一緒に寝てんだよ!」
「なりゆきだ!」
「どんな?」
顔を赤くして怒鳴り合う二人に元親が突っ込むが無視された。
「ってゆうか二人が付き合ってるって噂マジだったんだー」
「佐助のどこにホレるんだろうな」
ワーオと慶次が感嘆し、元親は問うような声音で頷く。
「二人とも失礼だな!あと付き合ってねェ!」
「そうだ!佐助は昔からcuteだろうが!」
「いやそんなことはないんだけど」
「初めて会ったのは小学生の時だった…」
「え?語り出した?マジで?」
本人が引いてることに構わず政宗は語り始め、二人がふんふんと頷きながら耳を傾け一人はアイスが溶けると戻って行った。
「…あの時も出会いはここだった…」
「嘘だろ?引っ張るの?ってか過去編の展開なの?」
佐助は誰にともなく問い掛けるが勿論返答はあるはずもなかった。
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予想外のお見舞いに、
慌てて寝たふりをした