彼が猫になっちゃった!


彼女が姿を現した時、その場には全船員が揃っていた。

「おはようロビンちゃん!何飲む?」
朝一番の挨拶と、メニューを訊ねたのは料理人。

「珍しいわね、ロビンがみんなより遅いの」
航海士は先程届いた新聞を読みながら。

「珍しいって言やぁルフィも飯だっつーのに来ねェな」
狙撃主は椅子の上で胡座をかき、マナーがなってねェと渋い顔の料理人。

「…それルフィのじゃねェのか」
いつでも眠たそうな顔の剣士は片眉を上げ、彼女の腕の中の麦藁帽子を見遣る。

「わ、猫だ!どうしたんだロビン?」
船医は椅子の上に立ち上がり身を乗り出して麦藁帽子の中に鎮座していた黒猫を見た。

なんだまた猫になったとか言うんじゃ…、と言ったのは剣士だったが声が音になって鼓膜を震わす前に航海士にテーブルに沈められた。

「ににゃー!」
帽子の中にいた猫は腕を延ばした。
キッチンの入口から、部屋中央のテーブルの上のハムまで。

がたがたがたがたん、と全員が椅子から立ち上がり、テーブルから離れる。正しくは入口からテーブルまで異様に伸びた猫の手から。

彼女は、ほぅ、と溜め息を吐く。
「やっぱり、伸びてるわよね」

「えええええ!?」

5人分の悲鳴は、猫の腕が伸びた事へか、船長が猫になってしまった事か、考古学者の反応の薄さか。

とにかく、偉大なる航路に木霊した。




2013/03/10 ( 0 )







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