キスで目覚めるらしい?朝、揃って女部屋から出て来たナミとロビンはほぼ同時に顔を顰めた。
「あんたたちまた呑んでたの!? いい加減にしなさいよ!?」
「ヨホ…すみません…」
仁王立ちしたナミが怒鳴ると甲板の芝生に転がっていた男性船員の中から古参の新入りが謝罪を口にした。
「ブルックが、皆で飲む酒と朝日の眩しさがたまらないんだって。久しぶりだから」
ロビンの腕に起こされながらチョッパーが説明するとナミは怒鳴ろうとした口を閉じる。
「それは…まぁ…」
「くぅ〜泣かせる話だぜ〜」
「おまえらホントにスーパーだなァ!」
ウソッブとフランキーは男泣きしながらまだ歌おうとしたのかギターに腕を伸ばしたが、床から生えた腕にすげなく払われた。
「ルフィがノるからだ」
ゾロが欠伸しながら言い、足下に転がってきたチョッパーを片手で受け止める。
ナミに足蹴にされてゾロとチョッパーは立ち上がり、ナミは他の船員も蹴り起こそうと甲板を歩き回る。
「ロビンさん」
「何かしら」
胸の上で両手の指を交差して仰向けに寝ていた骸骨に声をかけられ、傍らで何もせず佇んでいたロビンは足下を見やる。
「おはようのチューしてもらえますか?」
「ちょっと!?」
ナミが耳聡く聞き咎め、思わずフランキーの顔を蹴っていた。
「……。はい」
ロビンは目を見張ったが、ブルックの側に膝をつくと身を屈めて、ブルックの隣で寝ていたルフィの額に軽くキスする。
「あら?」
「フフッ…誰にとは言ってないわ」
口許で笑んでロビンは立ち上がり、二日酔いのせいかふらふらしていたチョッパーを腕を咲かせて支えた。
「ヨホホホホ!これは残念です」
ブルックは残念そうな気配は全く感じさせず高らかと笑う。
「ナミさ〜ん!おれも〜!げふっ」
サンジがハートを垂れ流しながら芝生の上をナミの足下まで転がったが、到着した瞬間ナミとゾロに踏まれた。
しぶとく寝ていたフランキーとウソップは咲いた腕に口と鼻を塞がれ息を止められていた。
「おはよう!」
脈絡なく飛び起きたルフィは両足を踏みしめて握った両手を突き上げると、世界に向かって朝の挨拶をした。
「あ」
「ああ!?」
「あら」
帽子を被り直して、朝飯だーと叫ぶルフィの額にはキスマークがついていた。
気付いているのかいないのかルフィは悲喜こもごもなその場の全員の顔を見て、にししと笑った。