【ケンカップルったー】
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シンジュはプリンを食べられ喧嘩になり最終的に無理矢理に、結局折れて謝ります



日付も変わろうかという夜も深い時間に大の男の雄叫びが響いた。

「ジュダル!お前勝手に冷蔵庫の中漁っただろう!?」

どかどかと足音荒く歩いてきた男の手にはスプーンが握られていて、ジュダルはあれの事かと頭の端の方でチラリと考えた。

「それが?」
「開き直るなよ!」

怒鳴られても視線を上げず、ソファーに寝そべったまま漫画雑誌を読み耽るジュダルにシンドバッドは詰め寄ろうとしたが、歩きながら膝から崩れてソファーに顔を埋めて終わった。

「…あーもーダメだ……灰になりそう……」
「プリンくらいまた買ってこいよ」

覇気も失せた声にジュダルも思わず雑誌から傍らで跪く大人に視線を移す。

「バッカおまえなぁ、数量限定プレミアム仕様だったんだよ。週末の愉しみを糧に今週超頑張ったのに」
「ちょーって言うなオッサン。オレを無視するからだザマミロ」
「もーおまえ帰れ!今週は構えないって言ってあっただろ!毎日毎日なんでいる!?」
「だから邪魔しないでやっただろーが!」
「いるだけで邪魔なんだ!」

シンドバッドが思わず本音を漏らしたと同時、その頭頂部を衝撃が襲う。目の前の床に投げ出された雑誌で叩かれたのだと悟り、痛む頭を押さえる間にジュダルが立ち上がった。

「帰る」
「かえる?…のか?今?」

こんな深夜に歩いて、とシンドバッドは時計を見てから慌てて後を追いかけ、既に靴を履いていたジュダルの腕を捕まえる。

「待て、帰るなら途中まで送るから」
「止めねぇのかよ!」
「何だ?泊めて欲しかったのか?」

腕を振り払って怒鳴るジュダルの文句を聞き流し、シンドバッドは財布だけ掴んでジュダルの背後から追い立てるように部屋の外に押し出す。すぐにマンションのエレベーターまで辿り着き、二人きりの狭い空間でシンドバッドは大きく溜め息を吐いた。

「あー…甘いものが食いたい…」
「あ?甘やかされたいって?」
「言ってない」

もうコンビニスイーツでも構わんな。と思っていたシンドバッドはジュダルの徒口を切って捨てたが、ジュダルは鼻で笑った。

「溜まってんだろ」

イライラしてるもんな。と嘲笑混じりに言われてシンドバッドは噎せた。イライラしてるのは寝不足とストレスと目の前の誰かのせいなのだが、自覚を持ってしまえば今週は忙しくてそんな暇はなかった、先週はどうだったかとそればかり意識してしまう。

「でもお前が帰れって言ったからオレは帰る」

マジか。
シンドバッドは思わず勢いよく振り向いてしまったが、ジュダルは顔を逸らしたまま頑として目を合わせようとしない。
エレベーターの扉が開いてシンドバッドは外に出たが、隣の気配がついてこない事に気がついて振り返れば、ジュダルはエレベーター内で壁を向いたまま動いていなかった。

「帰るんじゃなかったのか?」
「帰っていーのかよ」

いいかと言われると微妙だが。
素直じゃないというかめんどくさい性格というか、結局折れてしまう自分が甘いのか。
シンドバッドは呆れた溜め息を吐きながら、ジュダルが欲しいだろう言葉を頭を下げて言ってやる。

「……スミマセンでした」

遅ぇよバカ、と小さく弾んだ声が耳に届いた。


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プリンが絶対条件なので現代人になりました。私が書く覇王は安くてすみません。
拍手御礼だったもの。



2015/03/09 comment ( 0 )







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