【ケンカップルったー】
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蓮キョはAVを隠していたのがバレ喧嘩になり最終的に認めず、噛みつくキスをします



「…………、………………。」

二度見した。
剰え二度見を二回したのだが、それは幻覚でもなく確かに目の前に存在していた。
状況を整理しよう。
思って、二度見したDVDを手に立ち尽くす。
表を見ても裏を返しても確かにDVDである。中は、確認してはいないが恐らく想像と大きく違いはしないだろう。何故なら未開封だから。

「蓮さーん、荷物届きャアアアァァァ!!!」

紆余曲折を経て、恋人の地位を得てから地道に説得を重ね、やっと同棲に漕ぎ着けてめでたく本日付けで引っ越してきた彼女は、絶叫しつつDVDを奪うと素早く脱いだエプロンで包んで部屋の隅へ投げ捨てた。

「ななんであれみたですかいやまってあれを」
「うん、ごめん、なんか、荷物の一番上にあって、目に入って」
「あああああ置いたままインターホン出ちゃったああああ」
「そこに、届いたクローゼットを置こうかと思って、悪いとは思ったけどキョーコの荷物を勝手に移動させようと思って、荷物の一番上にあって目に入って」

そう、問題はあのDVDが自分の荷物からではなく、愛しい彼女の荷物から出てきたという事だ。純粋で純朴なこの娘の荷物からx-rated videoが出てくるとは思いもよらなかった。ちょっと動揺が治まらない。

「違うんです!アレは!別に見っ、見たい訳じゃなくて」
「ああ、なんだ……どっちに貰ったの?」
「え?貰う?」
「自分が出てるDVDだからって、よく貰うよね」
「よく貰うんですか?アダルトビデオを?ご本人に!?」
「え?うん」
「……へぇー……よく、貰うんですか……出演者に、ねぇー……」
「あれ?」

貰った物だから処分も出来ずに、それでも封も開けずに所持していたんじゃないのか。

「……貰ったんじゃないの?」
「生憎庶民の私なんぞは有名人の敦賀さんと違ってそんなモザイクチックな方と知り合う機会などありませんから」
「じゃあ、どうして、あんなものを持っていたんだ?」
「あ」

気分が急降下しているのが自分でも判る。
知人に譲られたというなら、何て事してくれたんだと相手を恨みながらも今度から断ってねと微笑みつつ諭そうと思っていたのに。

「……これは貰ったんデス」
「今さらだよ。どうして?」
「コレハ貰ったノデス」

部屋の隅に捨てられたDVD内包エプロンの前に踞るキョーコの背中が拒絶しているように見える。純潔は守ると言いながら、興味はあった訳だ。興味はあったのに、未成年とか未経験とか心の準備がとか言われて、受け入れられる事はないのに待ち続けていたなんて滑稽な話だ。

「ひとがどれだけ我慢して」
「わかってますよぅ…」

え。
返事がきた。
と思ったら、脳内論争が漏れてる事に気づいていないようだ。隅に踞ったまま何かを呟き続けている。

「私だってですね、覚悟を決めてはいるものの妖精規格の人にはわかりませんよどうせ典型的古典日本人体型ですよ。しかも真っ白なんです情報皆無で夜の帝王に太刀打ちなんて無理です絶対無理!こっちこないで!せめてハウツー動画で予習させて下さい!なのに女性教師に騙された!詐欺だわ!もう待てないとかや〜め〜て〜見せないで〜〜」

ちょっと待てキョーコ脳内の俺(多分)。まさか本物より先に脱いでいるのか。
踞ったままのキョーコの肩を揺すって振り向かせるけれど視線が定まってない。

「ちょ、キョーコ、キョーコ。戻ってきて」
「ぅはァっ!私は今どこに…!?」
「ずっと俺の目の前にいました。ごめん。もう解ったから」
「え…?…そ、そうですか!ではアレは貰ったノデスと信じて」
「本番を前にマニュアルDVDで予習をしようと思って女性教師のパッケージを選んだら全然際どい内容で開封も返品も出来なかったという事が解ったよ」
「イにゃぁあああああ!!」

頭の中覗きましたね!と顔を真っ赤にして怒るキョーコが涙目で可愛すぎてどうしてくれよう。彼女は彼女なりに俺を受け入れようと努力してくれていたんだと思うと無性に嬉しい。
暴れるキョーコを腕の中に閉じ込めて、誤解してごめんと謝罪する前に、キョーコ曰く贅沢というより広すぎて無駄に落ち着かないらしいベッドが目に入った。……いいかな。いいよね。

「違いますから!貰ったんですから!」
「うん、わかったから……キョーコ、明日は撮影なかったよね?」
「明日?」

怒りながら、すん、と鼻を啜るキョーコの旋毛にキスをすると、潤んだ目で見上げて傾げた首筋が。うん、無理。

「明日は、えっと、あ、きまぐれの坊がいッたァーい!」
「……ごめん」

鶏君は地雷だから。
このまま目の前のベッドでなし崩しに、と思ったけれど。思わず首に歯を立ててしまった今、噛みつく事が愛情表現の男だとインプットされそうで困る。

「何て言うんだっけ、こういう状況……」
「なんなんですかぁ〜」
「あ、そうか。あれだ」

噛まれた首辺りを両手で庇いながらキョーコが困惑しきった声で言うのに、どこかで聞いたセリフを思い出す。

「今日はこれくらいで許してやる」

続きはまた今度という期待も込めて見たキョーコは、これくらいってどういう意味ですか次は食い千切ってやるからなと云う…!? と震える声で呟きながら全身の血の気が引いていた。


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両想いでも意思疎通は全く儘なってなかった(ら、いいな)という話。
次の日、朝にはあら兄さんとお揃いvv?(照)なのが夜には仕返しなんていじめっ子!(怒)になり敦賀さんはおろおろするというような。
拍手御礼だったもの。



2015/03/09 comment ( 0 )







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