1. ごめんね、ありがとう悲しそうな顔で笑う兄を見て後悔した。
一人で浮かれて、二人ではしゃいで、他に誰もいない状況で迂闊にも秘密が口から零れてしまった。
吃驚した後、一瞬で笑顔を作って無かった事にされた、この気持ちは困らせるだけなの、と詰め寄りそうになって、でも本当はわかっていた。
レンといる時。レンがいない時。いつもちょっと拗ねたように、やっぱり姉弟だね、て肩を竦める、その仕種が語っていた。
未知の関係性に夢を持っていたのを知ってる。本物に憧れがあったのも知ってる。
どんな我が儘も甘やかしてくれるのは、家族で、妹だから。
「ごめんね、カイト兄」
「普通、こういう場合って謝るの僕の方じゃないかな」
この場合、謝られるということは拒絶と同義だ。聞きたくない、と首を振ると頭に手が載ってきた。
「ありがとう、リンちゃん」
いいこだね、と撫でてくれる手はいつもと変わらなくて、自分ばかりが動揺してる事実に、仕方無いから子供扱いも甘んじて受け入れる。
本当に良い子なら傷つけたりしなかったのに。
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御題の使い方が間違っている事は自覚していますがそんな感じで押し通ります。