2. 大キライ、また明日風呂から出たら実姉と義兄がケンカしていた。
「カイト兄のばか!大キライっ!」
訂正、リンがカイトに怒鳴ってた。
どしたの?と小声で訊くとカイトは肩を竦めて苦笑いだけ返してくる。
風呂上がりに食べるミカンの買い置きを忘れられたのか、それとも見たいドラマの録画を消されたのか、カイトの態度からして大した事じゃなさそうだ。
勿論そんな事は口に出さないし、リンの口撃に巻き込まれないように、極力存在感を消す事に徹する。
冷蔵庫の前で風呂上がりの一杯(バナナ味)を呷っていると、もうカイト兄なんて知らない!と捨て台詞を吐いて、リンがリビングを出ていこうとした。
「おやすみ。また明日」
意訳すれば『この話はおしまい、頭冷やして出直して来なさい』だ。
穏やかな声でトドメを刺されたリンは、バカイト!と叫んでドアを思い切り叩きつけて閉めた。
「レンは?」
「んー」
今部屋に戻ったらリンの愚痴に付き合わされてしまう。そうしたら試験勉強なんか出来やしないし、それならまだ返事をしなくていいテレビの方がマシな気がする。
「テレビ見ながらするわー」
「ほんとに君ら、双子だね」
ああ、そういうこと。
カイトが呆れた声で言う。リンが逆ギレしてた理由がやっと解った。
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「テレビ見ながら勉強できる訳ないでしょ!」「できるよ!うっさいなァ!」 的な。