3.重い資料運びをしていたら
さりげなく手伝ってくれた


「うっわ佐助それ重たそうだなぁ!」

隣のクラスから辞書を借りに来た慶次が、教室の入り口でノートの山を抱えた佐助とすれ違って声をかけた。

「重たいよ手伝ってよ」
「えーやだなぁー」
「さいてい!」
「まぁまぁ、働き者の佐助にはご褒美をやるか ら」

言いながら政宗が、近いが決して腕の届かない距離から近づかない慶次と佐助の間に割って入る。

「胡散臭!何?」
「オレん家の鍵」
「ギャー!やめろ勝手にポケットに突っ込むなバカー!」

いそいそと政宗に胸ポケットに鍵を突っ込まれ佐助は塞がった両手の代わりに足で地団駄していた。

「いつ住んでも構わねェぜ」
「絶っ対行かねェ!」
「お前が来ないとオレが家に入れないじゃねェ か?」
「知るかよ!そんなもん人に渡すな!」
「It's joke.ほらあーん」

笑いながら政宗は有無を言わせず、喚いていた佐助の口に取り出した飴玉を放り込む。

「飴ちゃんかよー」
「ご機嫌じゃん」
「実際小腹空いてたんで」
「じゃあついでにこれも持って行け」
「なんで!?」

政宗に抱え持っていたノートの上に更に授業で使用した教材を積み上げられ、慶次に呆れられながらも飴玉一つで浮上していた佐助の気分が一気に不機嫌に戻る。

「今tipやっただろ」
「俺を労ってのご褒美じゃねぇの!?」
「それはさっき」
「…鍵かよ!? 返すわ!! てか冗談だって言ったじゃん!」

政宗に胸ポケットの上から指差され佐助はあからさまに蒼白になったが、逆に政宗は肩を竦めて微笑んだ。

「それは合い鍵だから無くても家には帰れる よ?」
「何でかわいこぶってんの?」
「なんだと佐助以上に可愛い子なんて打ってねェ」
「会話にならないんですけどー」
「それって佐助以外を打ってんの佐助がぶたれてんのどっ」

言い終わる前に慶次の顔に辞書を叩きつけた政宗はもう片方の手に二人分の教科書を掴んでいた。

「次の授業移動だろ?お前の荷物持って行っててやるから」
「そんなので差し引きにならないからな!」

言いながら全部持って行くんだなと政宗は歩いていく佐助の背中を見ながら思い、顔を押さえながら廊下にうずくまる慶次には見向きもしなかった。

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重い資料運びをしていたらさりげなく手伝ってくれた




2013/03/09 comment ( 0 )







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