4. 笑って、待ってて



「カイト兄?元気ない?大丈夫?」
「うん」
「…どっち?」

大丈夫だけど元気は出ない。お酒の呪いか気力の問題か、玄関の床に吸い込まれて剥がれられない。
酒の席で、この前手を繋いで歩いてたの誰ですかと訊かれたので、妹なんだー可愛かったでしょー、と何故かガッツポーズする後輩に自慢をしていたらメイコさんに殴られた。アンタねぇ、ってひとの頭を撲っておいて隣に座って、誤解させるだけならやめなさいよ大体アンタは誰にもいい顔をしてとか正座の説教酒で絡まれた。顔を褒められたのは珍しいけど、誤解なんてどういう意味だろう。

「カイト兄見て見てっ」
「……………」
「…………せめて笑って……」
「……ああ、ごめん……」

てっきり深夜のテンションで変顔始めたのかと思った。落ち込んでる僕を浮上させようと試みた結果、駄々滑って返って彼女を落ち込ませてしまったらしい。それでも何か次の手を考えているパジャマ姿の妹の足が裸足で寒そうだった。触ったらセクハラかな?でもこの前告白られたしアリかな。うう。いい兄貴になれなくてごめんなさい。

「あっ、そっか!カイト兄、アイス食べる?」
「……もうちょっと、待っててくれる?」
「う?うん。いいよ?」

なんだ。誤解なんてないじゃん。ああよかった。お兄ちゃんかっこいいって言われる夢は諦めるしかないけど。元々他人なんだし。これで姐さんに犯罪者扱いはされないかな。そうだ、めーちゃんと言えば。

「今日ねぇー、ロリ誘拐って言わ」
「リン中学生なのに!!」

打てば響く反応に思わず大声で笑ったらひどいとか怒られてその顔すら可愛いとか重症かも知れない。


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メイコ姐さんは同じ大学という設定です。



2014/11/28 comment ( 0 )







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