4.席替えで二度連続隣りの席になった


「全員席決まったな。後ろの方、黒板見えにくい奴いるか?」
「先生ー」
「どうした猿飛」

出席簿を見ながら言う教師に佐助が手を挙げて訴えた。

「前の人の顔しか見えません」
「目の保養になって良かったな」
「親バカだな!」

出席簿から目を離さず応える教師に佐助は机に拳を叩きつける。

「担任に向かって馬鹿とはいい度胸だ。今学期の成績は捨てたらしいな」
「ごめんなさい。いやけど担任なら生徒の迷惑も考えてよ!」
「それもそうだな。政宗様、その体勢ではノートが取り辛いから前を向いてお座り下さい」

名簿を閉じてやっと顔を上げた教師は佐助を見ずにその前に後ろ向きに座る後頭部に語りかける。

「断る」
「諦めろ猿飛」
「もっと粘れよ!ふざけんな俺が授業にならんわ!」

即答で進む会話に佐助が猛り立つと政宗も佐助同様立ち上がって吠えた。

「オレより小十郎の顔の方が見てェのかよ!?」
「なんだ惚れたか?悪いがお前は趣味じゃない」
「その気も無いのにフラれた感じがムカつく」

教師に鼻であしらわれ前の席の政宗は鼻息が荒いしマトモな奴はいないのかと佐助が諦めかけたその時、佐助の斜め前で元親が手を挙げた。

「ハイハイ、こじゅろー!オレ提案」
「学校では先生と呼べと言っただろうが」
「このままだと永遠にHRが終わらないから、佐助オレと場所替わろうぜ」
「えっほんと?」

振り向いて爽やかに言う元親に佐助は一瞬ときめいたが手荷物がシャーペンだけなのを見てやっぱりダメだと思った。

「黒板が見えるだけ政宗の顔よりマシだろ。こじゅろーいいだろ?」
「…仕方無ェな」
「元親に甘ェな小十郎」
「申し訳無い。つい気が緩んでしまいまして」
「フラれた体の俺の立場がないんですけど?」

三人の会話に感じたくもない疎外感を感じながら佐助は席を立ち、すれ違いざまに元親に肩を叩かれた。

「小せェこと気にすんなよ佐助」
「ありがとーチカちゃんー、って、隣かよ!!」

元親の席だった場所に移動した佐助は笑顔で真横に居座る政宗に思わず全力で突っ込んだ。

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席替えで二度連続隣りの席になった




2013/03/08 comment ( 0 )







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