キッチンでしちゃうお話。2*


「あっ」

 締め付けが緩くなったブラと一緒に、鎖骨あたりまで服を一気にたくしあげられた。
 控えめな胸がふるりと現れて、再び顔が赤く染まる。
 先生は捲り上げた服の端っこを掴んだまま、少しだけ身を屈めて胸の突起を口に含んだ。

「っ……あ、ん」

 刺激を受けて硬さを増したそれを、舌先でころころ転がして弄ぶ。ちゅ、ちゅぱ、と緩急をつけて吸い上げられる度に、ぴりっとした甘い刺激が背筋から何度も突き抜けていく。

「ん、んっ、あん」
「……はあ、可愛い」
「あ、やぁ、ん」
「……香坂、これ自分で持ってて」
「んっ、……え?」

 先生の手が、私の服を軽く引っ張った。
 中途半端に捲った服の裾がずり落ちてこないように、掴んで持っていてほしいという意味らしい。
 少し躊躇った。
 けど結局のところ、私は先生のお願いを拒めない。

 言われた通り、端っこを掴んで持ち上げた。
 ぎゅっと瞳を硬く閉じて、羞恥に耐える。
 恥ずかしすぎて先生の顔なんて見れない。

 だってこんなの。
 まるで私が自分の意思で服をたくしあげて、先生を誘ってるみたいだ。

 それすらも彼の狙いだって事に、この時の私は気付いていない。

「は、恥ずかしい……」
「うん、すごくやらしい姿だね。自分で服捲ってまで、俺に触ってほしかったの?」
「っ、ちがうっ」

 こうするように言ったのは先生なのに。
 なんて心の中で悪態ついたところで、素直に従ってしまう自分も自分だってわかってる。

 気持ちよかったから。
 あの日、先生がたくさん触れてくれて、すごく気持ちよくしてくれたから。
 素直に動じたのは、もう一度先生の手で、唇で、気持ちよくなりたかったから。

 先生に与えられたあの快感が忘れられない。
 今だって中途半端に胸の愛撫を止めてしまうから、「早く、はやく」って、私の中の何かが刺激を求めて疼いてる。

「どうしてほしい?」
「え……」
「どうしてほしいのか、言って? 香坂の望んでること、何でもしてあげたいから」

 先生がくれたその言葉は、私に期待感を持たせるには十分過ぎるほどの魅惑的な響きを放っていた。
 まるで私の心の内を読んでるみたい。
 今私がして欲しいことなんて、本当は気付いてるくせに。
 先生は意地悪です。

 そう思うのに、先生の口調と表情はとても優しかった。
 わざと羞恥心を煽るような感じじゃない、私の中にある素直な部分を、そっと引き出す様な誘い方。
 だから私は、自然とお願い事を口にしていた。

「………な」
「うん」
「……なめ、て、ほしい……です……」

 ものすごく、恥ずかしいことを口走ってる自覚はある。
 でも体に覚えさせられたあの気持ちよさを、また味わいたい。
 彼から与えて欲しかった。

「んっ」

 また唇が重なる。
 今度はただ触れてるだけのキス。息が苦しくなるやつじゃない。
 啄ばむように口付けられる。
 これ、私の好きなキスだ。

「……あっ」

 名残惜しそうに唇が離れたと同時に、先生の片手が動く。太ももを撫でられて、思わず声が上がった。
 スカートをたくしあげて、内股をいやらしく滑る手のひらが、徐々に上へと移動する。そうして下着に辿り着いた指先が、薄っぺらい布の上からゆっくりと、私の大切な場所を撫でた。

「あっ、せんせ……っ」
「……やだ? やめる?」
「ううん、平気……」

 下半身を襲う刺激は、酷く緩いもの。
 もどかしいくらいの優しい愛撫に、それでも身体は素直に反応を示す。お腹の底に、熱が篭る。
 先生が控えめに撫でるのはきっと、何もかも初めての経験だろう私に気を遣ってくれているから。その優しさに胸が熱くなる。

 先生は私の望み通り、胸の頂を再び口に含む。生温かい肉厚の感触が、硬くなった先端を弄び、ちゅうと吸い上げてくる。
 その繰り返し。
 湿った音を響かせて、聴覚すらも刺激して奥底にある欲を駆り立てる。

「っあ、ん」

 堪らず、捲った服の端をぎゅっと握った。

 下着越しに撫でられている部分が、しっとりと濡れ始めているのが自分でもわかる。
 きっと、先生も気付いてる。
 触ってほしいと、思った。
 そんな恥ずかしすぎる願望を、先生はすぐに叶えてくれる。長い指先が下着の中に滑り込んで、ぬかるみに触れた。
 直に撫でられて、緩やかな快感が襲う。

「っあ……!」
「……こんなに濡らして。香坂は感じやすいね」
「あ、う、やだ、だめ、あっ」

 制止の声を無視して、先生の人差し指と中指が、その部分をゆっくりと押し広げた。
 奥から蜜がとろとろと溢れだして、彼の指を濡らしていく。

「すご……」
「や、やだぁ」

 下着の中で先生の指が動く度に、くちゅくちゅといやらしい音が漏れる。自分の身体からこんな音が出るなんて、恥ずかしすぎて死んじゃいそう。
 先生は私のせいで濡れた指先を、茂みに隠れた蕾にそっと塗りつけてきた。途端、電流が走ったくらいの刺激が背筋から突き抜ける。
 さっきまでの生易しい愛撫とは程遠い強い刺激に、びくびくと体が震える。

「や、や! あっ、ん、そこ……っ、」
「ここも弱い? 気持ちいい?」
「ん、んっ」

 必死にこくこくと頷く。
 先生の問いかけに、ちゃんと答えられる余裕が私にはなかった。
 胸は舌で愛撫されて、秘部は指で責められて、あまりの気持ちよさに脳まで蕩けてしまいそう。
 甘い痺れが全身を駆け巡って、お腹の奥がきゅんきゅんと疼く。前に触れられた時は少し怖かったのに、今日は恐怖なんて一欠けらも感じなかった。

 ただただ、気持ちいい。
 もっと、もっとして、って本能が叫んでる。
 どうしよう、私こんなにえっちな子だったのかな。

 視線を少し下に落とせば、言葉じゃ言い表せない程の恥辱的な光景が目に映った。
 先生の唇が私の胸に触れて、時折覗く赤い舌がねっとりと先端に絡みつく。片手がスカートを捲って、一番敏感なところに触れている。ベッドに寝転がっている状態だと見ることが出来ないその光景はとてつもなく、いやらしかった。
 視覚からも受ける刺激に、興奮が増す。
 もう此処がキッチンだとか、部屋が明るいだとか、そんな事はどうでもよくなっていた。

「せ……んせ……っ」
「ん、何?」
「な、んか……変…っ…、」
「うん……?」
「あ……ぅ……ゾクゾクする……っ」

 断続的に襲う刺激に混じって、違う感覚が混じる。今の愛撫でも十分気持ちいいはずなのに、物足りない。更に大きな疼きが、お腹の底から這い上がってくる感じ。

 この感じは、今日初めて味わうもの。
 けどこの正体が何か、私は知ってる。
 私だって、もう19歳。
 性の知識ぐらい、持ってる。

「……香坂、いきそう?」
「……っ、ん」
「おいで」

 優しい声が耳元で囁いて、肩に腕が回る。片腕で私を抱き寄せたまま、先生の指先が敏感な箇所をまさぐり、執拗に責め立てていく。
 体が熱くて、汗が額から滲み出る。急激に上り詰めていく何かが来る瞬間まで、体を震わせながら耐えた。
 まともに立つこともままならなくて、先生に寄り掛かって、縋るように背に手を回す。そのままぎゅっと服を握りしめたら、肩に回っていた腕に力が籠った。

「あ、あっ、も、むりっ……」
「ん……もう意地悪しないから、このままイッていいよ」

 そんな先生の囁きも、どこか熱が篭ってた。
 全ての感覚が快楽に染まっていく。

 息が詰まる。
 目の前がちかちかする。
 急速に、それが押し上げてくる。

「あ、やっ……あっ、――っ……!」

 視界が明滅した直後、その瞬間は唐突に訪れた。
 全身を駆け巡る強い刺激にびくんと体がしなり、何度か痙攣を起こす。次第に快楽の波が引いて、奥底で燻っていた熱も急速に消えていく。
 あとに残ったのは、酷い疲労感と脱力感。
 それでも、この時の私は幸福感で満たされていた。
 力強い抱擁と、大好きな先生の匂い。
 頼もしい腕の中はあったかくて、もっとくっつきたくて胸に頬を寄せてみる。
 すごく安心する。

「……あ」

 頭上から、ぽつりと先生の声が聞こえた。

「……しくった」
「先生……?」
「……イキ顔見れなかった」
「………」

 ……教師にあるまじき問題発言です……。

「香坂、もう一回、」
「もう疲れたから寝るの」
「……薄情だね」

 今度は拗ねたような呟きが聞こえた。
 薄情とか、そういうのとは違うと思います。

「……つかれた」
「え……まってほんとに寝るの? ここで?」
「ねる」
「こらこら」

 焦ったような彼の声。
 いつも余裕たっぷりな先生の、珍しい狼狽っぷりが何だか妙に可愛く見えて、おかしな安心感が心を満たしていく。

 襲い掛かる睡魔に逆らえない。
 夕飯作りの途中だったことも忘れて、私はそのまま先生の腕の中で、ぬくぬくと寝入ってしまった。

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