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(あの凛という女とは正反対だな)

 ナイトはふっと苦笑した。
 女王というどころか、女というにはあまりにも貧相な身体つきに、色気の全く無い立ち振る舞いをする少女だ。
 挙句の果てには勝ち目の無い相手にまで、後先考えずに飛び込んでいく無謀さ。
 ヴァンパイアの女どもというのは、危険を感じたら我先にと逃げ出す、弱い存在ではなかったか。

 それをあの女は――、本来女王を守るべき立場のはずのロゼリオンを、そして人間までもを助けようとしたり、やることが突拍子もなく予測もつかない。
 女王といえば代々アストレーヌ前女王のような、この世の贅を全て集めた容姿と優雅さを兼ね備えているもの、というナイトの常識はもうとっくに消え去っていた。

 (こんな場所(ところ)に来てまで、思い出すとはな)

 無意識にあの女のことを考えている自分に気づいて、壁にもたれた背中から少し力を抜くと、ナイトは静かにまた苦笑していた。

 瞬間、エリーゼははっと顔を上げた。 ナイトに気がつくと、ぱあっと頬を桃色に染めて口元を弛(ゆる)ませる。

「……ナイトレイ!」

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