3-13
まるで文化祭前の教室のように賑わう中、女たちは各々おしゃべりに興じている。
やれあの街が人狼に襲われただとか、はたまた恋の話に胸を躍らせていた。
「ねえねえ、そういえばあなたご存じ? 近頃貴族(イェゼン)の間では、子息をベルゼイナにある学校に入れるのが流行りだそうですわよ」
「学校……?」
ティティーに布をあてがわれながら、なんとなく会話を聞いていた凛は、ぴくりと耳をそばだてた。
「アストレーヌ前女王様がお作りになったっていう、あの?」
「そう! わざわざそんな所に入ってまで勉強しようなんて、貴族の考えることはわからないわね」
「ちょっとした道楽のつもりなんじゃあないかしら?」
女達は呆れたようにため息をついて笑い合うのを見て、凛ははっと瞳を輝かせた。
「ティティーさん。私、その学校に行きたい!」
「凛様? いきなり何を――」
ティティーは困惑のあまり、手にした布をとり落とした。
女達はおしゃべりをぴたりと止め、驚愕して凛を見やる。
「そうよ! それがいいわ!」
(このままじゃ、みんなの足を引っ張るだけだもの。私にできることは――)
「よぉし! そうと決まれば!」
「凛様! お待ちになってくださいまし」
勇み足で部屋を出ようとすると、
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