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「白がよろしいんじゃなくて?」

「いいえ、女王といえばやっぱり黒よ!」

「ここは華やかに、薄黄色がいいんじゃないかしら!」

 凛の部屋は今、まるで花が咲いたかのように黄色い声が響き渡っていた。
 ティティーの言葉通り、凛が湯浴みを終えるのを見計らって、色とりどりの布を持った女達が押し寄せてきたのだ。
 次々に凛に布をあてがっては、あーでもない、こーでもないと捲し立てている。

 嬉々として女達を先導しているティティーを捕まえ問いただすと、

「もちろん、今度あるお披露目パーティーで凛様が着る、ドレスの仕立てですわ」

とこともなげに答えた。
 狼狽する凛をよそに、うきうきと女達に支持を出している。
 あまりにも楽しそうに笑うので、なんだこっちまで微笑ましい気分になってくる。

(なんだか女子高生のノリみたい)

 懐かしい気分になって、凛は思わずくすくすと笑っていた。
 物思いに耽っていると、ふいに年若い少女が言う。

「ねえ、女王様は何色がお好きですの?」

「えっ、私!? えーと、青とか……」

 日本に居た頃、憧れの親友がよく着ていた色だ。

「青はいけませんわ! 冷たい印象を与えますもの。それに、女王様の髪色と全っ然合いませんわよ!」

 あ、そーですか。

 可愛らしい顔をして、ずいぶんハッキリ言う少女である。
 凛は呆然と少女を見つめ返した。

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