3-5
「そう……」
凛は急に勢いをなくして肩を落とした。
ルジェもグレイズさんも、アッシュがどこへ行ってたのか、知っていたんだ。
(わたしだけ、知らない。知らされてもいない)
わかっている。アッシュもみんなも、私に余計な心配をかけないようにしているんだってこと。
私が今、自分のことだけで精一杯なのを知っているから――。
だから、私が聞いてもどうしようもないことは、はじめから言わない。
凛は唇を強く噛みしめた。
瞬間。ぽん、と肩を叩かれて我に返ると、
「それより凛さん、もう皆さんは集まっているようですよ? 急ぎましょう」
「は、はい!」
グレイズは扉を開け放ち、凛に恭しく一礼をしたのだった。
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