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 それから一週間後――。レヴァンタイユ城を、いつになく張りつめた空気が覆っていた。
 今夜は大事な会議がある。そう、グレイズから聞いていた。

 城に住む吸血鬼(ヴァンパイア)の中でも、特に権力を持つ者達が集まるらしい。
 もちろん凛と、グレイズやルジェ達ロゼリオンも同等である。
 会議だなんて、なんだか政治家にでもなったようで不思議な気分だ。

 ルジェとの稽古を早めに終えて、自室に戻った凛を待ち受けていたのは、侍女のティティーだった。

「おかえりまさいませ、凛様。さあ、お早くお召し物をお脱ぎになってくださいね」

 ゆったりとした口調でほほ笑む彼女は、同時に素早く凛の上着を脱がせにかかる。

「ティティーさん……っ! あの、自分でやりますからっ!」

「そう、ですか? それでは湯浴みの準備をいたしましょう」

「あ、ありがとうございますっ」

 少し不満げに離れたティティーは、一見おっとりとした風だが、なかなか仕事のできる侍女である。
 常に凛の身の回りの世話を焼いてくれている。
 ただ少し面倒見の良すぎる節があって、服を着るのや体を洗うのまで手伝おうとするのが、少しいただけないが。

 凛がぼうっとしているうちに、あっという間に湯浴みの準備が整っていた。

「凛様、お体を洗うのをお手伝いいたしましょうか?」

 ティティーはタオルを持ってきながら嬉々として言った。

「結構ですっ!」

 全力で断ってから凛は密かにため息をついたのだった。

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