2-6
「あら。わたくしそんなこと言っておりませんわよ?」
クスクスと、あちらこちらから吸血鬼達の忍び笑いが聞こえてくる。
彼女らは、凛の赤茶けた髪を土色と呼び、いつも馬鹿にして楽しんでいるのだ。
無視、ムシ。
腹立ちまぎれにずんずんと足音荒く大広間を抜け、城の奥まった場所にある自室へやっと戻って来ると、荒々しく扉を閉めてほうっと大きく息をはいた。
ぼすんっ。
弾力のある大きなベッドに勢いよく飛び乗って枕に顔を埋める。
「こんなんで立派な女王になんて、なれるのかなあ……」
どうすればいい? ナイト……。
凛はナイトに貰った赤い石のペンダントを握りしめ、いつの間にか意識を手放していた。
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