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 ◆◇◆

 剣の稽古が終わったのは、すっかり日が傾いた頃だった。
 辺りは夜闇に浸食されはじめ、ぽつりぽつりと星が輝きだす。

 予告通り、あれからルジェにしごかれた凛は、全身疲労でクタクタになっていた。

 レヴァンタイユ城は正面玄関を抜けるとすぐ、円形の大広間になっている。
 そこには今日も大勢の美しい吸血鬼(ヴァンパイア)達が集って、各々に談話を楽しんでいた。

 金の装飾が施された豪奢な家具や長椅子。
 頭上には宝石の散りばめられた巨大なシャンデリアが垂れ下がっている。

 ――やだな。

 どう考えても、この空間で、自分だけが浮いている。

 それに凛にはもう一つ、ここを通るのが嫌な理由があった。

「土色の髪の麗しき我らが“我が君(ロゼット)”。さぞかしお辛い修行をなさっているのでしょうね。お召し物まで土色になっていますわ」

「あら失礼よ。女王様は、一刻も早く立派な女王様になるべく、修行しておられるのよ? みっともないなんて言うべきじゃないわ」

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