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そこまで言うと、ふいに堪(こら)えきれなかった涙が、堰(せき)を切ったように溢れ出す。
「母さんと二人で幸せになろうって」
嗚咽(おえつ)を押し殺して声を震わせるロコに、凛の身体は勝手に動いていた。
「大丈夫。きっと幸せになれるから」
ロコの細い身体をぎゅっときつく抱きしめる。
触れてみてはじめて、服に隠れたその身体が、年齢に不釣り合いなほどにか細いことがわかった。
「お姉ちゃん……」
ロコの腕が、そっと凛の身体に巻きついた。
凛もさらに力強くロコを抱きしめる。
凛の胸に顔をうずめて泣きじゃくるロコの身体は、とても弱々しくそして暖かかった。
◇ ◇ ◇
「じゃあさ、泊まるとこないんだろ? うちに泊まっていきなよ」
泣き止んだロコが先ほどとは打って変わってにっこりと笑った。
「いいの?」
これからどうしようと思っていた凛にとって、これは嬉しい申し出だ。
「うん、いつまでいてもいいからね」
太陽のように瞳を輝やかせるロコに、凛もつられて微笑する。
「ありがとう、よろしく」
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