4-1 エマリエルドール



エマリエルドール



 城を出た凛は、ほどなくした所にあるエマリエルドールという街に来ていた。

 見つかる前にと夢中で走って森を抜ける。
 部屋から持ち出したランタンのような小さなともし火だけを頼りだ。

 こんな世界で一人でいることはとても怖かったが、人間を襲うような非道な彼らの女王になりたくなかったことと、自分と同じ人間に会いたいという気持ちだけが凛を突き動かしていた。

 城のある森を抜けると満点の星空に照らされて、荒野の先に街並みがかすかに見える。
 しかし振り返っても、森に囲まれた城は見えなかった。
 まださほど歩いていないというのに、あれほど巨大な城の姿形も見えないというのはとても不思議だ。
 そんなことを考えながら、凜は無我夢中で街を目指していった。

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