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 エマリエル卿は地面に片膝を付いたグレイズに突進しながら、大きな咆哮をあげた。
 ナイトは先ほど捨てた剣を手に取ると、グレイズの眼前に移動する。

「ナイト!」

 グレイズが叫ぶと同時に、二人の刃がぶつかりあった。

「血を寄こせえ!」

 ただそれしか叫ばないエマリエル卿の剣を受け流し、続けざまに剣を振るう。
 あまりにも素早い攻撃に体勢を崩したエマリエル卿の左胸の心臓を、ナイトの剣が貫いた。

「ぐああああーーっ!」

 エマリエル卿は空気が震えるほど大きく絶叫すると、地に崩れ落ちる。

 それがこの街を恐怖に陥れたエリュシオン、エマリエル・レヴラーの呆気ない敗北の瞬間であった。

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