6-2

「ロコ……」

 ぽつりと呟いて膝を折り、手を合掌させる。
 それはあの夜城に戻る前、凛達が作ったロコの墓であった。
 目を瞑ると沈黙が訪れた。
 ナイト達は静かに凛を見つめている。
 あんなに人通りの多くて、にぎやかな場所だったとは思えないほどの静けさだった。
 ゆっくり瞼を開いた凛は、決意をこめて立ち上がる。

「ところで凛、何故あいつの墓まで作ったんだ?」

 すっかり凛と呼ぶようになったナイトが、一つだけぽつんと離れた山を怪訝な表情で見やった。 

「だって、かわいそうだったから……」

「馬鹿女め」

「そっ! そういえば、エリュシオンである奴がなんでこんなことをしたのか、結局わからなかったな」

 ルジェが凛に被せて罵倒したので言い返そうとすると、アッシュがさっと話題を変えてしまった。 

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