5-37
アッシュ達の戦いを見ていたヴァンピル達が次々と集まってくる。
ざっと見渡すだけでも数十はいそうだ。
「わかった、頼む。行くぞ」
ナイトはそう言って凛の手を掴んだ。
「いいか、俺の傍を離れるなよ」
「待って! あの女の人、ナイトの時みたいに私の血をあげれば助かるかも――」
「駄目だ! 女王の血は、人間には毒に等しい。そんなもの飲ませたら死んでしまうぞ! もっとも、少し死期が早まるだけだがな」
「そんな」
ナイトが声を荒げて静止するのを、凛は呆然と聞いていた。
それでは自分には何ができるのだろう。
何もできはしないのではないか。
「臆するな。あいつを助けるんだろう? 行くぞ」
「うん」
立ち止まるにはまだ早い。
凛は覚悟を決めて頷いた。
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