5-29

「女王とか関係ないでしょ! あんなに苦しそうなナイト放って逃げられるわけないじゃない! 日本人なめないでよ!」

 思い切り怒鳴った後にぜえぜえと荒い息を吐いた。
 肺に新鮮な息とともに、言ってやったという爽快感も取り込んだ。

「そうか。馬鹿に聞いた俺が悪かったな」
 
 ふう、と深いため息を吐いて額に手をあてると、にやりと悪戯な笑みを浮かべる。

「はあ? 何よその言い方は――」

「ナイト、凛ちゃん!」

 その時だった。
 凛の抗議を遮って、アッシュの声が聞こえたのは。
 見れば向こう側からアッシュが走ってくるところだった。
 只ならぬ様子の声を聞いて、ナイトも後方をかえりみる。

「どうしたの? アッシュ」

「大変なことが起きた。エマリエルドールの街を、大勢のヴァンピルが襲っている!」

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